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月末の夕方5時すぎ。
定時で帰る同僚を横目に、机の上には封筒から出した領収書と、社員から回ってきた立替精算の申請書の束。
「この交通費は旅費交通費でいいんだっけ」「この懇親会、会議費? 接待交際費?」——一枚ずつ勘定科目を考えながらExcelに打ち込んでいると、気づけば外は真っ暗。
経理や総務で経費精算を担当していると、この「考えながら打ち込む」時間が毎月そっくり戻ってくる。
先に結論をお伝えします。ChatGPTは、経費精算の「考える・整える・書く」の部分を肩代わりできます。
- 領収書の内容を渡せば、勘定科目の候補を出してくれる
- 立替経費の明細を渡せば、精算書の文面に整えてくれる
- バラバラの交通費を渡せば、集計して一覧にしてくれる
この記事では、経理・事務の現場でそのまま使えるコピペプロンプトを5つ紹介します。月末の手入力地獄を、少しでも短くするための実践ガイドです。
なぜ経費精算はChatGPTと相性がいいのか
経費精算の作業は、大きく「判断」「集計」「文章化」の3つに分けられます。
- 判断:この支出はどの勘定科目か、経費規程に合うか
- 集計:日付・金額・用途を表にまとめる
- 文章化:精算書や申請理由を文章にする
このどれもが「決まったルールに沿って、情報を整える」作業です。ChatGPTはこうした定型的な整理・文章化を得意とします。
つまり、人が最後に確認することを前提にすれば、下書きづくりを任せるのにちょうどいい相手なのです。
逆に、金額の最終確認や原本の保存といった「責任が伴う部分」は人が担う。この役割分担が、経費精算でAIを使うときの基本になります。
使う前に準備しておく3つのこと
プロンプトを使う前に、次の3点を手元にそろえておくとスムーズです。
- 自社の勘定科目リスト(よく使う科目だけでも可)
- 経費規程の要点(上限額・必要な添付・接待のルールなど)
- 領収書やレシートの情報(日付・金額・店名・用途のメモ)
ChatGPTは自社のルールを知りません。最初に「うちのルールはこうです」と渡すほど、出てくる答えが実務に近づきます。
コピペで使える5つのプロンプト
以下のプロンプトは、【】の中をあなたの情報に置き換えて使ってください。
なお①〜③で作った表は、同じChatGPTの会話をそのまま続けて④や⑤に渡せます。別の場所へ貼り直す必要はありません。
プロンプト①:領収書の内容から勘定科目を振り分ける
あなたは経理の実務担当者です。以下の支出について、もっとも適切と思われる勘定科目の候補を理由つきで挙げてください。
判断に迷う場合は、確認すべきポイントも示してください。
【自社でよく使う勘定科目】旅費交通費/会議費/接待交際費/消耗品費/新聞図書費/通信費
【支出の内容】
・2026/5/12 取引先A社との打ち合わせ後の飲食 4,800円(参加3名)
・2026/5/15 電車での移動 往復1,240円
・2026/5/18 業務用の文具 2,200円
飲食が会議費か接待交際費かは、金額や相手で判断が分かれます。ChatGPTに「迷う点」を挙げさせると、確認漏れを防げます。
プロンプト②:立替経費の精算書を作る
以下の立替経費を、精算書用の一覧表(日付/内容/勘定科目/金額/備考)に整えてください。
合計金額も計算してください。最後に、上長への申請メッセージの文面も120字程度で作ってください。
【立替者】営業部 田中
【経費】
・5/10 出張先までの新幹線 13,200円
・5/10 宿泊費 9,800円
・5/11 取引先訪問のタクシー 1,600円
・5/11 昼食(出張中・単独)1,100円
精算書の表と申請文を一度に作れます。出張のたびに使える、定番の1本です。
プロンプト③:バラバラの交通費を集計する
以下の交通費メモを、日付順に並べた一覧表(日付/区間/目的/金額)にまとめ、合計を出してください。
同じ区間が複数ある場合は回数もわかるようにしてください。
【メモ】※通勤定期の区間は精算対象外なので含めていません
5/3 東京→横浜 商談 590円
5/3 横浜→東京 帰社 590円
5/16 東京→品川 取引先訪問 180円
5/20 東京→大宮 研修 580円
「メモを表にして合計」までを任せれば、電卓での足し算ミスがなくなります。なお、通勤定期でカバーされる区間は精算対象から外すのが一般的です。
プロンプト④:会計ソフト取込用のデータ項目に整える
以下の経費一覧を、会計ソフトに取り込みやすい項目(日付/勘定科目/金額/摘要)の表に整理してください。
摘要は誰が見てもわかる簡潔な説明にしてください。表はそのままコピーできる形でお願いします。
【経費一覧】
(ここに①〜③で整えた内容を貼り付ける)
ChatGPTで項目をそろえておくと、会計ソフトへの取り込みがスムーズになります。整えたデータは、後述のクラウド会計ソフトに読み込ませる流れが効率的です。
プロンプト⑤:経費規程に合っているかをセルフチェックする
以下の経費が、当社の経費規程に違反していないかをチェックし、問題がありそうな項目と理由を挙げてください。
【経費規程の要点】
・一人あたりの会議費は1回5,000円まで
・タクシーは21時以降または重い荷物がある場合のみ
・宿泊費は1泊12,000円まで
【チェック対象】
(②や③で整えた経費一覧を貼り付ける)
申請前に規程との照らし合わせを済ませておくと、差し戻しの往復が減ります。
電帳法・インボイスで気をつけること
経費精算では、税法上のルールも避けて通れません。
電子帳簿保存法では、2024年1月以降、メールやサイトで受け取った請求書・領収書などの電子取引データを、電子のまま保存することが義務化されました(国税庁)。
なお、売上高5,000万円以下の事業者は検索機能の備付けが不要とされるなど、小規模事業者向けの緩和措置もあります。
ここで大事なのは、ChatGPTに渡したのはあくまで「情報」であり、領収書の原本データの保存は別途必要だという点です。
ChatGPTは集計や下書きを助けてくれますが、保存要件を満たすかどうかは判断しません。電帳法の基礎は、こちらの記事で整理しています。
→ 関連記事:インボイスの2割特例と電子帳簿保存法──個人事業主が押さえる基本
よくある失敗と注意点
便利な反面、使い方を誤るとかえって手間が増えます。次の4点に注意してください。
- 金額は必ず人が最終確認する。ChatGPTは計算を誤ることがあります。合計は電卓や表計算でも検算しましょう。
- 勘定科目は「候補」として扱う。最終判断は自社のルールと担当者の責任で行います。
- 個人情報・機密情報の入力は社内ルールに従う。クレジットカード番号などの過度な情報は入れないのが安全です。
- 領収書の原本(データ)は規程どおりに保存する。ChatGPTでの整理は保存の代わりにはなりません。
これらを守れば、ChatGPTは「下書きを高速で作る相棒」として安心して使えます。
会計ソフトへの取り込みやデータの仕分け自体を、もう一段自動化したい方は、AIエージェントで領収書を仕分ける発想も参考になります。
→ 関連記事:経理の領収書仕分けをAIエージェントで自動化する
まとめ:ChatGPTで「考える・整える・書く」を圧縮する
最後に要点を整理します。
- ChatGPTは経費精算の「判断の候補出し・集計・文章化」を肩代わりできる
- 自社の勘定科目・経費規程を最初に渡すほど、実務に近い答えになる
- 金額の最終確認・原本保存・最終判断は人が担う
まずはプロンプト①と②をコピーして、今月の精算で1回試してみてください。月末の残業が少しでも軽くなるはずです。
ChatGPTで整えたデータは、クラウド会計ソフトに取り込むと精算から記帳までが一本につながります。どの会計ソフトが自分に合うか迷う方は、こちらの比較も参考にしてください。
→ 関連記事:マネーフォワード vs freee 徹底比較【2026年版】どっちを選ぶ?
経費精算のデータ取り込みまで効率化したいなら、自動連携に強いクラウド会計ソフトを土台にするのがおすすめです。
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※本記事は実務の効率化を助ける一般的な情報の提供を目的としています。個別の税務判断は、顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。
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