【実話】保険会社の「8対2」を鵜呑みにしかけた私が、AI予習で過失割合を9対1にひっくり返し、賠償額が1,000万円変わった話

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最終更新日:2026年6月17日

この記事は私の実体験に基づいています。過失割合や賠償額は事故ごとの個別事情で大きく変わります。本記事はあくまで「私の場合」の記録です。

あなたのケースの数字を保証するものではありません。

争いのある事案・人身事故・高額の事案は、必ず弁護士や法テラス(0570-078374)にご相談ください。

入院中のベッドで、その電話は鳴った

事故に遭ったのは、信号機のない交差点でした。私はバイクで直進、相手は四輪車で右折。相手の車の左側面に、私のバイクが衝突しました。

入院することになり、まだ体の痛みも引かないベッドの上。そこへ、相手側の保険会社の担当者から電話が入りました。

落ち着いた、丁寧な声でした。「ドライブレコーダーを確認しました。今回は8対2くらいですね」。

理由はこうでした。四輪車はほぼ曲がりきっていた。そこへバイクが左側面に追突した。だからバイク側の前方不注意が大きい——と。

入院中で、頭も働かず、痛みもある。相手は専門用語を交えて淡々と説明してくる。私は危うく「ああ、そうですか」と頷きそうになりました。

でも、ふと止まりました。その「8対2」は、何を根拠にした数字なんだろう。

最初に言っておきたいのは、これは保険会社を悪者にする話ではないということです。担当者は悪意で電話してきたわけではありません。

仕事として自社の負担を抑える提案をする立場にいるだけです。

問題は、こちらにその数字を測る「物差し」がなかったことです。

結論から言うと、私はその後AIで徹底的に予習し、赤本という実務基準の存在を知りました。ドラレコ映像の確認を求め、自分の根拠を示し、弁護士に相談しました。

複数回のやり取りを経て、最終的に裁判所を通した和解で過失割合は9対1に落ち着きました。

当初提示された賠償額500万円も、最終的に1,000万円になりました。たった1割の差が、私の場合は1,000万円の差になったのです。

この記事は、私がどうやってAIを「予習の道具」として使い、専門家と一次情報で裏取りをして、対等に確認できる状態に持っていったかの記録です。

なぜ「言われるまま頷く」のが一番危険なのか

私が踏みとどまった最大の理由は、後で知ったある事実でした。示談は、一度サインすると原則やり直せないのです。

示談は法律上「和解契約」にあたります。和解とは、当事者が互いに譲り合って争いをやめる約束のことです(民法695条)。

一度成立すると、その後に違う証拠や事情が出ても、原則として内容をやり直せません。

これを確定効と呼びます(民法696条)。条文はe-Gov法令検索の民法で誰でも読めます。

もし私があの電話で「8対2でいいです」と言っていたら、その瞬間に8対2が「裁判所の判断」ではなく「私が合意した数字」として確定していたのです。

本来、他者の不法行為で損害を受けた被害者は損害賠償を請求できます(民法709条)。

ただし被害者にも過失があった場合は、裁判所が事情を考慮して賠償額を減らせます。これを過失相殺と呼びます(民法722条2項)。

示談は、その手続きを通さずに合意だけで決着させる行為です。

入院中の、痛くて頭も回らないタイミングで電話が来たのはおそらく偶然です。ただ、判断力を欠いているときに重要な数字を提示される構造になっている、とは言えます。

だからこそ、その場で答えないことが最初の鉄則でした。

私は担当者にこう伝えました。「いったん持ち帰って確認させてください」。これだけで十分です。

注意:示談成立後でも、当時はまったく予測できなかった後遺障害が後から出た場合などは、例外的に追加請求が認められることがあります。ただしこれはあくまで例外で、通常は「やり直し不可」と考えてください。

AIを「保険会社に回答する前の予習」に徹底活用した

ここからが本題です。私は、保険会社に何か回答する前に、どんな些細なことでも必ず一度AIに相談するというルールを自分に課しました。

使ったAIはChatGPT、Claude、Geminiの3つです。1つのAIの答えを鵜呑みにせず、同じ質問を複数に投げて突き合わせる。

これだけで、AIがたまにやる「もっともらしい嘘」をかなり防げます。

AIの嘘の見抜き方については、AIのもっともらしい嘘の見抜き方でも詳しく扱っています。

ただし、AIの役割は明確に線引きしました。AIに任せたのは「予習・論点整理・質問づくり」まで。過失割合の確定や交渉そのものは、絶対にAIに任せませんでした。

なぜか。AIは法律分野で、実在しない判例や条文を自信ありげに出すことがあります。赤本のような基準書は毎年改訂されますが、AIが最新版を知っているとは限りません。

さらにAIには弁護士のような守秘義務がなく、事故の詳細を入れればプライバシーのリスクもあります。

だから私は、AIの答えは必ず「下調べのメモ」として扱いました。そのあと自分で赤本の実物を確認したり、弁護士に相談して裏取りをしました。

この「AIで予習 → 一次情報と専門家で検算」の往復が、今回の核心です。AIを使ったリサーチの基本はAIリサーチツールの比較も参考になります。

決め手は「赤本」という物差しの存在を知ったこと

AIに事故状況を入力し(特定情報は除き抽象化して)、「この種の事故で過失割合を考えるときの論点」を整理してもらう中で、私は「赤本」という言葉に出会いました。

赤本とは、正式には「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」。日弁連交通事故相談センター東京支部が発行し、弁護士も裁判官も参照する実務的な「物差し」です。

また、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という過失割合のパターン別基準書も、同様によく使われています。

過失割合や賠償額は、担当者の感覚で決まる数字ではありません。実務には共有された基準書があり、専門家はそれに沿って動いています。

物差しの存在を知るだけで、提示を見る目が変わります。

ここで強調したいことが2つあります。

1つ目は、この記事に具体的な数値表を載せないということ。著作物である上に、断片的な数値を機械的に当てはめると判断を誤るためです。

2つ目は、あなたのケースが9対1になると保証もできないということ。基準書の発行元自身が「あくまで一つの目安で、事件ごとに変わる」と明記しているからです。

大事なのは数字そのものより、「物差しが存在し、専門家はそれに沿って動いている」と知ることで、提示を見る目が変わるということです。

「電話一本で逆転」ではなかった——段階を踏んで9対1へ

ここは正直に書きます。物差しを手にしたからといって、電話一本で即9対1になったわけではありません。実際は、いくつもの段階を踏みました。

まず、担当者にこう伝えました。

「赤本に基づくと、私のケースは9対1が目安だと理解しています。そちらがドライブレコーダーを根拠に8対2を主張されるのであれば、まずはそのドライブレコーダーの映像をご提出いただけますか」

感覚論ではなく、基準を軸にした確認です。そして、相手の根拠(ドラレコ)を「見せてください」と求めた。実際の経緯を時系列で書くと、こうなります。

  1. ドラレコ映像の確認を求めた:相手が8対2の根拠にしている映像を、まず提出してもらった。
  2. 赤本に基づく自分の主張の根拠を提示した:「私のケースの類型では9対1が目安だと理解している」と、基準を示して主張した。
  3. 弁護士に相談した:自分の理解が正しいか、ここからどう進めるべきかを専門家に確認した。
  4. 複数回のやり取りを重ねた:一度の電話では決まらず、書面や交渉を何度も往復した。
  5. 最終的に裁判所を通した和解で9対1に落ち着いた:当事者の合意だけでなく、裁判所の手続きを経て決着した。

「8対2が当然」という空気は、こちらが物差しを持って根拠を求めた瞬間に、確かに変わりました。でもそれは魔法の一言ではありません。

根拠の提示・専門家への相談・複数回の交渉・裁判所の手続き。その地道な積み重ねの結果です。

これは特別な交渉術ではありません。ただ、物差しを知っているか・知らないかの差でした。知らなければ、私は最初の電話で頷いていたはずです。

500万円が1,000万円になった——1割の重み

過失割合が8対2から9対1へ。割合だけ見れば、たった1割の差です。

ところが、損害の総額が大きいと、この1割が桁違いの金額になります。私の場合、保険会社が当初提示した損害賠償額は500万円でした。

裁判所を通した和解が成立し、最終的に支払われた金額は1,000万円になりました。これは私固有のケースの結果であり、同じ金額になると保証するものではありません。

過失割合の見直しと、基準に沿った賠償額の算定。この2つを「言われるまま」にしなかっただけで、結果は大きく変わりました。

入院中のあの電話で頷いていたら、私はそのうち相当な額を、知らないまま手放していました。

ここは大事なので繰り返します。これは私のケースの結果であり、賠償額が必ず増える・2倍になると保証するものではありません。損害の内容も、過失の事情も、事故ごとにまったく違います。だからこそ、確定の前に専門家に確認してほしいのです。

そのまま使える「予習用プロンプト」4本

私が実際に使った考え方を、コピペで使えるプロンプトにしました。使う前に1つだけ約束を。

氏名・住所・電話番号・車のナンバー・相手の個人情報など、特定につながる情報は絶対に入れないでください。

状況は「直進二輪と右折四輪」のように抽象化して書きます。出力はあくまで下調べです。最後は必ず赤本の実物・弁護士・法テラスで検算してください。

なお、AIに何かを整理させる発想にまだ慣れていない方は、AIエージェントとは何かの入門から読むと、こうした使い方の全体像がつかめます。

1本目は、事故状況の論点整理です。

あなたは交通事故の予習を手伝うアシスタントです。法的な確定はせず、論点の整理だけをしてください。
私の事故の状況を抽象化して書きます。

【状況】(例:信号機のない交差点で、直進していた二輪車が、右折してきた四輪車の左側面に接触。四輪はほぼ曲がりきっていた)

この事故で過失割合を考えるうえで、一般に争点になりやすいポイントを箇条書きで整理してください。
また、私が自分で調べるべきこと・専門家に確認すべきことを分けて挙げてください。
※具体的な過失割合の数字は断定せず、「論点」と「確認すべきこと」だけにしてください。

2本目は、専門用語をやさしく解説してもらう使い方です。

交通事故と保険の場面で出てくる次の言葉を、法律に詳しくない人向けに、それぞれ2〜3文でやさしく説明してください。
専門用語を別の専門用語で説明しないでください。
【言葉】過失相殺 / 過失割合 / 示談(和解契約)/ 確定効 / 物損と人身 / 既払金 / 赤本 / 判例タイムズ38号
最後に「これらを正確に確認したいときの公的な相談先」を挙げてください。

3本目は、保険会社に確認するための質問リストづくりです。

私はこれから保険会社の担当者と過失割合について話します。
言われるまま合意せず、根拠を冷静に確認するための質問リストを作ってください。
・提示された過失割合の根拠(ドラレコ等)を確認する質問
・賠償額の内訳と算定の考え方を確認する質問
・今合意すべきか保留すべきかを判断する質問
を、それぞれ丁寧で自然な口調で5問ずつ作ってください。
※相手を責めず、事実と根拠を確認するトーンにしてください。

4本目は、赤本・判タで「自分が何を確認すべきか」をチェック項目に落とす使い方です。

交通事故の過失割合には赤本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)や
別冊判例タイムズ38号といった実務基準があると知りました。
私が弁護士に相談する、または基準書を確認する前に、自分の件について
「どの項目を・何のために確認すべきか」をチェックリスト形式で作ってください。
※具体的な数値や私の事故の過失割合は出さず、確認すべき「項目」だけ挙げてください。

私はこの予習を、ChatGPT・Claude・Geminiの3つに同じように投げて答えを突き合わせ、そのうえで赤本と弁護士で裏取りしました。

こうしたAIでの情報整理・リサーチのスキルを基礎から学びたい方は、Udemyの講座を見る(PR)で、AI活用やリサーチ術の講座を探せます。事故のときだけでなく、日常の調べ物にも効く土台になります。

AIに任せてはいけないこと

最後に、これだけは強調させてください。AIに任せたのは予習だけです。次のことは、必ず人と専門家に委ねました。

下の図は、AIに任せる範囲(予習・整理)と、人・専門家に任せる範囲(確定・交渉)の線引きです。

交通事故対応でAIに任せる範囲(予習・整理)と人・専門家に任せる範囲(確定・交渉)の線引き図

具体的には、次の4つは人・専門家の領域です。

  • 過失割合の最終判断:個別の道路状況・証拠をふまえた確定は、弁護士や交渉・調停・訴訟の場で。
  • 保険会社との交渉そのもの:相手保険会社との交渉を、報酬目的で他人が代行するのは弁護士法72条に触れます。当事者本人が自分でやるか、弁護士に依頼します。
  • 示談書などの法的書面の作成・チェック:示談書や内容証明などは専門家へ。
  • 賠償額の確定:赤本の基準を個別事案に正確に当てはめる作業は、実物と専門家の判断が要ります。

これらは間違えると取り返しがつきません。AIの誤りは「下調べのやり直し」で済みますが、示談のミスは「やり直せない契約」に直結します。

迷ったときの判断基準はシンプルです。「これは確定・交渉か、それとも下調べか」。確定・交渉なら、AIではなく人へ。

私の最大の後悔:弁護士費用特約に入っていなかったこと

正直に書きます。私はこの事故の時点で、弁護士費用特約に加入していませんでした。

弁護士費用特約は、弁護士への相談費用や依頼費用を保険でまかなえる特約です。

自分の過失がない「もらい事故」では、保険会社は示談交渉を代行できません(弁護士法上の制限)。

こういうときこそ、この特約が効きます。

私はこの一件のあと、すぐに加入しました。費用負担は月数百円程度です。

あれだけの差が出る場面で弁護士に気軽に相談できる安心を月数百円で買えるなら、加入しない理由はないと身をもって思います。

今この記事を読んでいるあなたには、事故に遭う前の今日、保険証券を確認してほしいです。

困ったときの相談先(まず公的窓口から)

費用が心配でも、最初の一歩は無料や低額の公的窓口から始められます。

  • 法テラス(日本司法支援センター):国が設けた公的機関。サポートダイヤルは0570-078374。無料法律相談や、条件を満たせば弁護士費用の立替制度(審査あり)もあります。
  • そんぽADRセンター(日本損害保険協会):電話03-4332-5241(2025年6月30日以降の全国共通番号。旧:0570-022808も当面利用可)。保険会社とのトラブル解決支援を原則無料で行う指定紛争解決機関です。
  • 日弁連交通事故相談センター:赤本の発行元でもあり、交通事故に特化した相談を受けています。
  • 裁判所の民事調停:裁判ではなく話し合いで解決する手続きで、費用は訴訟より低額です。制度の概要は裁判所の民事調停のページで確認できます。

消費者の立場から保険トラブルの事例を見たいときは、国民生活センターの自動車保険トラブル事例も参考になります。また、自賠責保険など被害者支援の制度全体は国土交通省の自賠責保険・被害者支援で確認できます。弁護士に相談する流れや事務所側の対応については弁護士事務所のAI活用事例も、相談前のイメージづくりに役立ちます。

「専門家に頼む=大げさ」ではありません。物差しを持った人に確認してもらうことが、結果的にいちばんの近道です。

まとめ:必要なのは「反発」ではなく「物差しでの確認」

私の体験を、署名の前に立ち止まるためのチェックリストにしておきます。

交通事故の示談で損しないための確認ステップ図

  • 提示された過失割合の「根拠」を確認したか
  • 賠償額の内訳と算定の考え方を聞いたか
  • 過失割合や賠償額には赤本などの実務の物差しがあると知っているか
  • AIは予習・論点整理に使い、出力を赤本・弁護士で検算したか
  • 確定・交渉・法的書面はAIに任せず、人・専門家に回したか
  • 弁護士費用特約の有無を確認したか
  • 争い・人身・高額のときは、法テラスや弁護士に相談したか

「8対2くらいですね」と言われて頷きそうになったあのとき、私に必要だったのは保険会社への反発ではありませんでした。

物差しを知り、根拠を確認すること。そのための予習を、AIが静かに手伝ってくれました。

こうしたAIでの情報整理は、交通事故にかぎらず、仕事や暮らしのあらゆる調べ物に応用できます。「専門知識ゼロからAIで効率化したい」という方は、DMM 生成AI CAMPを見る(PR)で、非IT職向けの実践的な学び方を確認できます。

そして最後にもう一度。AIはあくまで予習の道具です。最終的な判断・交渉・賠償額の確定は、必ず弁護士などの専門家に確認してください。

やり直せない契約だからこそ、ひとりで決めないことがいちばん損をしない選び方です。

AI

jitsumuai / jitsumuai.com 運営者

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