人事評価に納得いかないとき、AIで気持ちと次の一歩を整理する【2026】

※本記事にはPR(アフィリエイト広告)を含みます。

昼休みが終わる5分前、人事システムの通知を開きました。総合評価は、昨年より一段階下でした。画面をすぐ閉じて、午後の生産会議に出ました。けれど、資料の数字が頭に入ってきません。メモ用紙には、意味のない線が何本か引かれているだけです。1週間後に、フィードバック面談があります。

結論からお伝えします。あの通知で否定されたのは、あなたの仕事の「全部」ではありません。自己評価と上司の評価のズレは、たいてい数項目に集中しています。そのズレを2〜3点まで絞り込み、面談で確かめる言い方を用意しておく。この1週間でやることは、それだけです。

AIの役割も先に決めておきます。AIに評価の正否を判定させることはしません。頭の中でひと固まりになっている感情から、確かめられる事実だけを仕分ける。その作業を手伝ってもらいます。

「人事評価に納得いかない」──評価が低いショックは、幼稚な感情ではありません

まず、この気持ちの置き場所を作ります。

評価が低いと分かったときのショックは、その日のうちに消えるものではありません。仕事が手につかなくなるのも、当たり前のことです。

納得できないという感情は、押し殺すべきものではありません。制度の側が、その感情があることを前提に仕組みを持っているからです。

人事院は、国家公務員の人事評価について「人事評価制度に関する苦情への対応」という資料を公表しています。そこには「人事評価制度の公正性・透明性の確保と制度の信頼性を高めるため、苦情に的確に対応することが不可欠」と書かれています(人事院の資料(PDF))。

対応は二段階です。人事評価に関する苦情全般を扱う「苦情相談」と、開示された評価結果に関する苦情などを扱う「苦情処理」。苦情処理では、開示された評価結果が適当かどうかが審査されます。適当でないと判断された場合には、再評価または再調整が行われることもあるとされています。さらに「職員は苦情の申出を理由に不利益な取扱いを受けない」とも明記されています。

ただし、これは国家公務員の制度です。民間企業に同じ制度がそのまま適用されるわけではありません。ここは混同しないでください。

では民間はどうでしょうか。厚生労働省の令和6年「労使コミュニケーション調査」(常用労働者30人以上の民営事業所が対象)では、苦情処理機関が「ある」事業所は67.3%でした。前回調査の57.8%から増えています。ただし規模差は大きく、300人未満では5〜6割程度にとどまります(厚生労働省の調査結果(PDF))。

つまり、仕組みの有無も中身も会社によって違います。「必ず異議を申し立てられます」とは言えません。まずは自社に相談窓口や人事評価規程があるかを確認してください。

それでも、押さえておきたいことがあります。国の制度も、多くの民間企業も、「評価に納得できない人がいる」ことを前提に窓口を持っている。声にすること自体は、まったく子どもじみた話ではないのです。

民間調査もひとつ挙げておきます。パーソル総合研究所が2021年に実施した「人事評価と目標管理に関する定量調査」(従業員8,000サンプル)の結果です。自社の評価制度に不満を抱いている人は、38.3%でした。あなただけが特別なわけではありません。

立ち直りの入口は「評価ギャップの座標」──否定されたのは全部ではありません

ここから、気持ちを扱える大きさに変えていきます。立ち直り方を探している段階の人ほど、この作業から入ったほうが早く進みます。

最初にやるのは、評価シートを「総合評価」で見るのをやめることです。項目ごとに、自分の見立てと開示された評価を並べます。本記事ではこれを「評価ギャップの座標」と呼びます。

生産管理の係長であれば、たとえばこうなります。

評価項目 自分の見立て 開示された評価 ズレ
納期遵守率 高い 高い なし
生産計画の精度 高い 高い なし
原価低減 高い 低い 大きい
部下育成 普通 低い あり
他部署との調整 高い 普通 小さい
改善提案の件数 普通 普通 なし

評価ギャップの座標 自分の見立てと開示された評価を項目ごとに並べズレが数項目に集中していることを示す図

並べてみると、見えてくることが2つあります。ひとつは、多くの項目で見立てが一致していること。もうひとつは、ズレが数項目に集中していることです。

一段階下がったという事実は変わりません。けれど、あなたの仕事の全体が否定されたわけではないことが、目で見て分かります。ここが、感情の総量を扱いやすい大きさに変える最初の一歩です。

この作業に使う材料は、期末に自己評価を書いたときとほぼ同じです。自己評価そのものの書き方は自己評価の書き方をまとめた記事で扱っています。本記事はその先、出したあとに返ってきた評価とどう向き合うかの話です。

ズレを2〜3点に絞り込む──AIに手伝ってもらうところ

座標ができたら、次はズレの絞り込みです。ここでAIを使います。

やってもらうのは3つです。ズレの大きい項目を2〜3点に絞ること。それぞれについて、ズレが生まれた理由として考えられる解釈を挙げること。そして、面談で確かめるための質問文を作ることです。

AIに渡すのは「評価そのもの」ではありません

先に、渡すものと渡さないものを決めます。

評価シートの記載をそのまま貼り付けるのはやめてください。個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」は、「個人に関する情報」を次のように定義しています。

ある個人の身体、財産、職種、肩書等の属性に関して、事実、判断、評価を表す全ての情報

つまり、あなたの評価は法的にも「個人に関する情報」に含まれます(ガイドライン(通則編))。個人情報保護委員会は、生成AIサービスの利用についても注意喚起を出しています。

渡すのは、項目名と大まかな高低だけで足ります。会社名、部署名、上司や同僚の実名、評価コメントの原文は入れません。上司は「上司」、同僚は「Aさん」に置き換えます。

実際の頼み方

あなたは、私の評価面談の準備を手伝う相談相手です。
評価が正しいか間違っているかの判定はしないでください。

# 前提
- 私は製造業の生産管理部門の係長です
- 会社名・部署名・個人名は伏せます。上司は「上司」、同僚は「Aさん」と呼びます
- 評価シートの文言は写しません。項目名と大まかな高低だけを渡します

# 評価ギャップの座標
- 納期遵守率:自分=高い/評価=高い
- 生産計画の精度:自分=高い/評価=高い
- 原価低減:自分=高い/評価=低い
- 部下育成:自分=普通/評価=低い
- 他部署との調整:自分=高い/評価=普通
- 改善提案の件数:自分=普通/評価=普通

# お願い
1. ズレが大きい項目を2〜3点に絞ってください
2. 各項目について、ズレが生まれた理由として考えられる解釈を、
   私にとって不利なものも含めて2つずつ挙げてください
3. それぞれについて、面談で事実を確かめるための質問文を1つずつ作ってください。
   相手を責める言い方にはしないでください

このやりとりを1回通すだけで、頭の中の言葉が変わります。

通す前

とにかく納得いかない。去年より数字は良かったのに評価が下がった。上司は現場を見ていない。

通したあと

確かめたいのは2点。①原価低減の評価が下がった理由。期末の材料費の変動を、どこまで自分の管理責任と見ているのか。②部下育成の評価。引き継ぎ書を整備したことは、どの項目で見られているのか(あるいは、見られていないのか)。

言っている内容は、そんなに変わっていません。変わったのは、面談の席で口に出せる形になっているかどうかです。

なお、AIが挙げた「考えられる解釈」は、あくまで仮説です。当たっていることもあれば、外れていることもあります。確かめるのは面談の場であって、AIの中ではありません。

各ズレに、「面談で確かめる言い方」を用意しておく

絞り込んだ2〜3点を、そのまま面談に持っていくと危ういことがあります。「なぜ下がったんですか」だけを聞くと、多くの場合、話は評価の弁明で終わってしまうからです。

聞き方を、少し変えます。

出てきやすい言い方 確かめる言い方
なぜ評価が下がったんですか 原価低減の項目について、期末の材料費の変動をどう見て評価されたか、教えていただけますか
現場を見てもらえていないと感じます 引き継ぎ書を整備した件は、来期はどの項目で見ていただけますか
去年のほうが数字は悪かったはずです 昨年と今年で、この項目の見方に変わったところはありますか

右側の言い方には、共通点があります。過去の点数ではなく、評価の見方を聞いていることです。見方が分かれば、来期に何をどう積み上げればいいかが分かります。点数だけを争っても、来期は何も変わりません。

用意しておくのは、この言い方を各ズレに1つずつ。合わせても2〜3文です。当日は、それだけあれば足ります。

悔しさを面談の場で言葉にできないまま終わると、同じことが次の評価でも繰り返されます。AIに整理してもらった事実を、自分の口で語れる形に仕上げておく。その伝え方・話し方を体系的に学べる講座を、ひとつの備えとして紹介しておきます。

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講座の内容や価格は変動します。申し込む前に公式サイトでご確認ください。

面談は「覆す場」ではなく、来期の測られ方を決める場

ここで、面談そのものの位置づけを整えておきます。

面談を「評価を覆す場」と定義すると、勝ち負けの場になります。覆れば勝ち、覆らなければ負け。この設定だと、面談の多くは負けで終わります。そして次の期も、同じ状態で始まります。

代わりに、こう定義してみてください。面談は、ズレの正体を確かめ、来期の測られ方を合意する場です。

面談のテーブルに載せるもの載せないもの 絞り込んだズレのメモと来期の測られ方だけを持ち込む俯瞰図

もちろん、覆ることもあります。人事院の資料が示すとおり、国家公務員の制度では苦情処理を経て再評価や再調整に至る場合があります。民間企業でも、事実誤認が確認されれば修正される会社はあります。ですが、覆るかどうかは相手と会社の判断です。この記事は、覆ることを約束しません。

覆らなくても残るものがあります。「この項目は、来期こう見ます」という合意です。これは持ち帰れます。

相手側の事情も、少しだけ知っておくと役に立ちます。評価する側もまた、限られた情報と時間の中で判断しています。上司がフィードバック面談をどう組み立てているのかは、上司側のフィードバック面談の記事にまとめてあります。相手の設計図が分かると、確かめたいことをどこで切り出せばいいかも見えてきます。

そして、来期の測られ方を握るなら、期の途中の面談が本番になります。期中の面談で何を持ち込み、何を確認するかは中間面談の準備の記事で扱っています。今回の面談は、その入口です。

眠れない日が続くときは、評価の話から離れてください

ここまでは、評価と面談の話でした。けれど、そこに収まらないこともあります。

眠れない、食欲がない、休みの日も仕事のことが頭から離れない。そうした状態が続いているなら、優先すべきは面談の準備ではありません。

厚生労働省は、働く人のメンタルヘルスのポータルサイト「こころの耳」で相談窓口を案内しています。電話相談は平日17:00〜22:00(受付は21:50まで)、土日は10:00〜16:00(受付は15:50まで)。SNS相談は平日17:00〜22:00(受付は21:30まで)、土日は10:00〜16:00(受付は15:30まで)。メール相談は24時間受け付けており、1週間以内に返信があります。いずれも祝日・振替休日と年末年始(12月29日〜1月3日)は休止します(こころの耳 相談窓口)。さらに踏み込んだ相談先はまもろうよこころにまとまっています。

職場の困りごと全般については、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーがあります。令和7年度の総合労働相談は119万8,010件で、18年連続で100万件を超えています(厚生労働省の公表資料)。正直に書いておくと、この統計に「人事評価」という単独の相談区分はありません。それでも、評価をきっかけに職場の関係がこじれたときに、無料で相談できる公的な窓口があることは知っておいて損はありません。

なお、この記事は法律の助言をするものではありません。ハラスメントや不利益な取り扱いが疑われる場合は、上記の窓口や専門家に相談してください。

面談を終えても納得できないなら──転職を決める前に確かめること

ここまでの準備は、あくまで「今の会社の中で、この評価とどう向き合うか」のためのものです。

もし面談を終えてもなお、この評価が自分の実力を映していないという感覚が消えないなら。それは転職を決める合図ではなく、一度、社外の物差しで自分を確かめてみるタイミングなのかもしれません。今の評価がすべてではないと知るだけで、気持ちが軽くなることもあります。

順番としては、いきなり求人を見るより先に、自分の仕事を棚卸ししておくほうが役に立ちます。数値化しにくい貢献をどう言葉にするかは、市場価値の棚卸しの記事にまとめてあります。今回作った「評価ギャップの座標」は、そのまま棚卸しの材料になります。

そのうえで、外の物差しを当ててみたくなったときの選択肢を、ひとつだけ挙げておきます。

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登録したから転職しなければならない、ということはありません。確かめてから、残るという結論を選ぶ人もいます。

まとめ:面談の日を、来期の測られ方の始まりにする

この1週間でやることを、もう一度並べます。

まず、評価シートを項目ごとに開いて、自分の見立てと開示された評価を並べます。それが「評価ギャップの座標」です。多くの項目は一致していて、ズレは数項目に集中しているはずです。

次に、そのズレをAIに渡して2〜3点に絞ります。渡すのは項目名と大まかな高低だけ。会社名も、上司の名前も、評価コメントの原文も渡しません。AIに評価の正否を決めさせないことも、はじめに伝えておきます。

最後に、絞ったズレごとに「確かめる言い方」を1つずつ用意します。過去の点数ではなく、評価の見方を聞く言い方です。持っていくのは、2〜3文だけで足ります。

面談で評価が覆るかどうかは、相手と会社が決めることです。けれど、来期この項目をどう見るのかを聞いて帰ることは、あなたが決められます。

面談の日を、評価の終わりにしないでください。来期の測られ方が始まる日にしてください。あの昼休みに閉じた通知は、そのときには少し違って見えるはずです。

転職も含めて本格的に動くことを考え始めたときは、40代転職×AIの完全ガイドに全体の地図をまとめてあります。急ぐ必要はありません。まずは1週間後の面談からです。

AI

jitsumuai / jitsumuai.com 運営者

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