- FP3級の独学は、テキストの1ページ目より「引き出しの中身」から始める
- FP3級の6分野は、わが家の書類と1対1で対応している
- FP3級の試験の輪郭──CBT・2つの団体・受験料・合格ライン
- 学科と実技、どちらもCBT方式に移行している
- 実施団体は2つ。違うのは実技試験の科目
- 受験料と合格ライン
- 合格率は団体と科目で大きく違う
- 「わが家換算」の手順──AIに論点を自分の数字へ引き直してもらう
- AIに渡すプロンプト(1本だけ覚えれば十分です)
- 返ってくる答えの形(一例)
- この作業を1日1論点だけ続ける
- AI独学で一番危ないのは、FP試験だけにある「法令基準日」のズレ
- なぜこれがAIと相性が悪いのか
- 対策は3つ。どれも数分で終わります
- FP3級の独学は何時間かかるのか──時間の話と、教材の足し方
- 「自分は何時間か」は、2つの数字を足して見積もる
- 見積もりを予定に落とすときの、2つの注意点
- 教材を足すなら、直前期の「耳」から
- AIに渡さないもの、AIに決めさせないこと
- 渡さないもの
- 決めさせないこと
- 「FP3級は意味ない」と言われることと、その先の道
- まとめ:CBTだから、試験日は自分で決められる
FP3級×AI独学|何時間で受かる勉強法【2026】
※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれています。
保険の更新案内と、ねんきん定期便。封を開けたところまでは覚えています。けれど中の言葉がどれも他人の言葉に見えて、そのまま食卓の引き出しにしまいました。封筒には、返信の期限だけが赤く印刷されていました。テキストは買ってあります。けれど「所得控除」という言葉の説明を3回読んでも、この封筒のどこにもつながってくれませんでした。
先に結論をお伝えします。FP3級の勉強は、テキストの1ページ目からではなく、その引き出しの中身から始めたほうが早く進みます。
理由は単純です。FP3級で問われる6つの分野は、あなたの家にある書類とほとんど1対1で対応しているからです。保険証券、給与明細、ねんきん定期便、源泉徴収票、固定資産税の納税通知書、そして家族の構成。試験の論点を、この「わが家の数字」に引き直しながら学ぶ。この作業をAIに手伝ってもらうのが、本記事でお伝えする勉強法です。
この記事では、6分野と書類の対応マップ、AIへの頼み方、そしてFP試験だけにある落とし穴「法令基準日」までをまとめました。
FP3級の独学は、テキストの1ページ目より「引き出しの中身」から始める
テキストの言葉と、手元の封筒がつながらない。これは意志の問題ではありません。読み方の順番の問題です。
多くのテキストは制度の全体像から入ります。制度の説明は、それを使う場面を知らない人にとって、輪郭のない言葉の連なりになります。「所得控除」も同じです。定義だけを3回読んでも、手がかりがありません。
けれど、あなたの手元には手がかりがあります。会社員のご家族が年末にもらう源泉徴収票には、「所得控除の額の合計額」という欄が実際に印刷されています。給与明細には「社会保険料」の欄があります。定義を覚えてから書類を見るのではなく、書類を見てから定義に戻る。順番を入れ替えるだけで、言葉に手がかりがつきます。
これが本記事の言う「わが家換算」です。試験の論点を、自分の家の書類と数字に引き直してから覚えます。
この考え方は思いつきではありません。金融庁は2013年(平成25年)11月29日に「最低限身に付けるべき金融リテラシー(4分野・15項目)」を公表しています。その4分野は、①家計管理、②生活設計、③金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択、④外部の知見の適切な活用、です(出典:金融庁の公表資料。4分野の詳細はJ-FLEC「金融リテラシー・マップ」で確認できます)。
先頭に来ているのは、金融商品の知識ではありません。家計管理と生活設計です。勉強の入口を自分の家計に置くのは、遠回りではなく本筋なのです。
FP3級の6分野は、わが家の書類と1対1で対応している
FP3級の出題範囲は、次の6分野です。ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継。
この6つを、家のどこを開けば確かめられるかで並べ直したものが、下の表です。本記事の背骨にあたる部分なので、できれば手元に書類を出しながら読んでみてください。
| FP3級の6分野 | わが家のどの書類か | その書類で確かめられること |
|---|---|---|
| ライフプランニングと資金計画 | ねんきん定期便/給与明細/児童手当や就学関係の通知 | 公的年金の記録、毎月引かれている社会保険料、教育資金の見通し |
| リスク管理 | 生命保険・医療保険の保険証券/更新案内 | 保障の種類、保険期間、保険料の払い方、更新で何が変わるか |
| 金融資産運用 | 銀行の残高照会/投資信託の取引報告書 | 預貯金と投資商品の違い、リスクとリターンという言葉の中身 |
| タックスプランニング | 源泉徴収票/確定申告書の控え | 所得控除の考え方、給与から税額が決まるまでの順番 |
| 不動産 | 固定資産税の納税通知書/賃貸借契約書 | 土地と建物の評価、契約の種類、住まいにかかる税金 |
| 相続・事業承継 | 家族の構成そのもの/親から聞いた資産の話 | 誰が相続人になるか、順位はどう決まるか、贈与との違い |

表にすると、6分野のうち、まったく手元に素材がない分野はほとんどないとわかります。読めなかった保険の更新案内は「リスク管理」の教材です。読めなかったねんきん定期便は「ライフプランニングと資金計画」の教材です。引き出しにしまった2通は、買ったばかりの問題集より具体的な素材でした。
もちろん、持ち家がなければ固定資産税の通知はない、というように書類がない分野も出てきます。その場合は賃貸借契約書を使うか、「今は自分に関係ない分野」と割り切ってテキストの図表で補います。全部そろえる必要はありません。手元にある分野から入って、勉強に体温を持たせるのが目的です。
FP3級の試験の輪郭──CBT・2つの団体・受験料・合格ライン
勉強法の前に、試験そのものの形を押さえておきます。ここを知らないまま独学を始めると、あとから予定を組み直すことになります。
学科と実技、どちらもCBT方式に移行している
FP技能検定の2級・3級は、学科試験・実技試験とも、全国で随時受検できるCBT試験へ完全移行しています。日本FP協会の受検申請ページには、次のように記載されています。
2級・3級FP技能検定は学科試験および実技試験とも、全国で随時受検ができるCBT試験へ完全移行いたしました。
ただし「随時」は「365日いつでも」ではありません。年に数回の休止期間があります。日本FP協会の試験日程ページでは、2026年度の実施期間を2026年4月1日から2027年3月31日まで(次の休止期間を除く)としています。
- 2026年5月24日〜5月31日
- 2026年12月28日〜2027年1月5日
- 2027年3月25日〜3月31日
(出典:日本FP協会「試験日程」)
本記事の執筆時点では、5月の期間はすでに過ぎています。これから予定を立てる方が気をつけるのは、年末年始と年度末です。「年内に決着させたい」と考えている方は、12月28日から動けなくなる点を先に頭に入れておいてください。
実施団体は2つ。違うのは実技試験の科目
FP技能検定を実施しているのは、日本FP協会と、きんざい(金融財政事情研究会)の2団体です。学科試験は共通の内容で行われ、違うのは実技試験の科目です。
| 団体 | 実技試験の科目 |
|---|---|
| 日本FP協会 | 資産設計提案業務(この1科目) |
| きんざい | 個人資産相談業務/保険顧客資産相談業務(どちらかを選択) |
(出典:日本FP協会「試験要綱」、きんざい「2026年度試験日程・科目・受検手数料」)
家計の見直しを目的に基礎を広く学びたい方は、日本FP協会の資産設計提案業務が素直な選択肢になります。保険の仕事に関わっている方であれば、きんざいの保険顧客資産相談業務という選び方もあります。
受験料と合格ライン
受験料は両団体とも同額です。学科試験4,000円、実技試験4,000円で、いずれも非課税です。学科と実技を同時に受ける場合は8,000円になります。なお、きんざいの案内には決済手数料が別途かかる旨の記載があります。
試験時間と合格基準は次のとおりです。
| 科目 | 試験時間 | 問題数 | 出題形式 | 合格基準 |
|---|---|---|---|---|
| 学科試験 | 90分 | 60問 | 多肢選択式 | 60点満点中36点以上 |
| 実技試験 | 60分 | 20問 | 多肢選択式 | 100点満点中60点以上 |
(出典:日本FP協会「試験要綱」)
※この表は日本FP協会の実技(資産設計提案業務)の仕様です。きんざいの実技は事例形式・5題・60分で、50点満点中30点以上(同じく6割)です。なお学科は共通問題ですが、出題形式の表記は団体の案内で異なります。きんざいの案内では「○×式・三答択一式」としています(出典:きんざい「3級FP技能検定試験要綱」)。きんざいで受検する方は、この表でなくきんざいの要綱を確認してください。
どちらも合格ラインは6割です。満点を取る試験ではありません。この点は、勉強の設計にそのまま効いてきます。苦手な分野を完璧にするより、6分野をひととおり歩けるようにするほうが、合格には近づきます。
合格率は団体と科目で大きく違う
2025年10月から2026年2月に実施された分の結果は、次のとおりです。
| 団体・科目 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 日本FP協会・学科 | 42,641名 | 36,926名 | 86.60% |
| 日本FP協会・実技(資産設計提案業務) | 42,409名 | 35,997名 | 84.88% |
| きんざい・学科 | 19,510名 | 10,530名 | 53.97% |
| きんざい・実技(個人資産相談業務) | 6,195名 | 4,065名 | 65.61% |
| きんざい・実技(保険顧客資産相談業務) | 12,719名 | 6,093名 | 47.90% |
(出典:日本FP協会「FP技能士の取得者数及び試験結果データ」、きんざい「CBT試験結果」)
数字の差が大きいので、読み方を添えます。学科試験の内容は共通ですから、この差をそのまま「問題の難しさの差」と受け取るのは適切ではありません。受験者層の違いが背景にあると解説されることが多い数字です。ただしこれは団体の公式見解として確認できたものではないため、断定はしません。
また、きんざいの実技は科目によって65.61%と47.90%に分かれます。ひとまとめにした「きんざいの実技合格率」という数字は、意味が薄くなります。比べるときは、必ず科目まで見てください。
「わが家換算」の手順──AIに論点を自分の数字へ引き直してもらう
ここからが本題です。6分野と書類の対応が見えたら、次はAIの出番です。
やることは1つだけです。テキストで詰まった論点を、AIに「わが家の書類のどこを見れば確かめられるか」まで下ろしてもらいます。答えを教えてもらうのではありません。手がかりの場所を教えてもらいます。
AIに渡すプロンプト(1本だけ覚えれば十分です)
あなたはFP3級の勉強を手伝う先生です。
これから私が「詰まっている論点」と「わが家のざっくりした状況」を伝えます。
次の3つを、専門用語をできるだけ日常の言葉に置き換えて説明してください。
1. その論点は、わが家のどの書類の、どこを見れば確かめられるか
2. その書類を見ながら考えると、その論点はどういう意味になるか
3. 試験で問われやすいのはどのあたりか(覚える順番も教えてください)
【詰まっている論点】所得控除
【わが家のざっくりした状況】会社員の夫、パート勤務の私、中学生の子どもが1人
<守ってほしいこと>
・氏名、住所、生年月日、マイナンバー、保険証券番号、口座番号、
基礎年金番号は入力しません。金額は「約○万円」と丸めて書きます。
・制度や数値は、あなたの答えをそのまま覚えません。
私が受ける試験回の法令基準日に合わせて、テキストと試験団体の
公式サイトで確認します。確認すべき箇所があれば教えてください。
末尾の「守ってほしいこと」には、2つの安全装置を入れてあります。個人情報を渡さないことと、法令基準日を自分で確かめることです。どちらもこの記事の後半で詳しく説明します。書き写すのは面倒に感じますが、この数行があるかないかで、勉強の安全性は大きく変わります。
返ってくる答えの形(一例)
返ってくるのは、たとえばこういう形の答えです。ここでは説明のために要約した例を示します。
- 源泉徴収票の「所得控除の額の合計額」欄と、給与明細の「社会保険料」の欄を見てください。
- 給料の全額に税金がかかるわけではありません。社会保険料や、家族の状況に応じた分などを差し引いた残りに対して税額が計算されます。だから「控除」が増えると、税の負担は軽くなります。
- 試験では、控除の名前と「誰が使えるか」の組み合わせが問われやすい部分です。まずは社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、基礎控除のあたりから押さえると進めやすくなります。
ここで大事なのは、この答えを覚えることではありません。この答えを持って、実際に源泉徴収票を開くことです。「所得控除の額の合計額」という欄が本当にあり、そこに自分の家の数字が入っている。それを一度目で見ると、次にテキストの「所得控除」の章を読んだときの入り方が変わります。
なお、控除の金額や適用の要件は、制度改正で動きます。具体的な金額は、AIの答えではなく、必ずテキストと公式資料で確認してください。ご自身の税額そのものの判断は、税務署や税理士など専門家の領域になります。
この作業を1日1論点だけ続ける
「わが家換算」は、まとめてやる作業ではありません。テキストを読んでいて詰まった論点が出てきたら、その1つをAIに渡す。それだけです。
進め方の目安は、詰まった論点を1日1つ。書類を出して確かめるところまでで、10分から15分ほどです。この10分は、机に向かう勉強とは別枠の「生活の中の勉強」として数えて構いません。
資格勉強とAIの組み合わせをもっと一般的に知りたい方は、資格勉強にAIを使う方法をまとめた記事も参考になります。誤答の管理など、FP3級以外の資格にも共通する使い方をまとめています。
AI独学で一番危ないのは、FP試験だけにある「法令基準日」のズレ
ここからが、FP3級でAIを使うときに、他の資格とはっきり違う部分です。本記事で一番お伝えしたいところでもあります。
FP技能検定には「法令基準日」という仕組みがあります。試験問題は、その日の時点で施行されている法令を基準に作られます。日本FP協会の試験要綱には、こう書かれています。
試験問題は、法令基準日時点ですでに施行(法令の効力発効)されている法令を基準とします。
きんざいも同じ考え方です。「問題文に特に指示のない限り、以下の基準日現在施行の法令等に基づくものとします」と記載しています。その上で、CBT方式の2級・3級について、次のように案内しています。2026年6月から2027年5月までの期間の試験は、2026年4月1日時点の法令が基準になります(きんざい「法令基準日について」)。
きんざいの案内では、2025年6月からの期と2026年6月からの期が、いずれも6月区切りで示されています。その年の4月1日時点の法令が、翌年5月までの試験に適用される運用です。

なぜこれがAIと相性が悪いのか
ここに、生成AIの弱点がちょうど重なります。ズレ方には3つのパターンがあります。
1つ目は、古い情報のまま答えるパターンです。AIが学習した時点から制度が変わっていると、その変更が反映されないまま説明されます。
2つ目は、逆に新しすぎるパターンです。「最新の情報です」と添えて、あなたが受ける試験回の法令基準日より後の改正内容を答えてしまうことがあります。制度の解説としては正しくても、その試験では出題対象になっていません。
3つ目は、数値を取り違えるパターンです。控除額や税率のような数字は、もっともらしい形で誤って生成されることがあります。
厄介なのは2つ目です。1つ目や3つ目は「古そうだ」「怪しい」と気づける余地があります。けれど2つ目は、AIの答えが世の中の制度としては正しいのです。正しい知識なのに、試験では失点になる。FP試験でAIを使うときの落とし穴は、ここにあります。
対策は3つ。どれも数分で終わります
第一に、勉強を始める前に、自分が受ける試験回の法令基準日を試験団体の公式ページで確認してください。両団体とも専用のページで案内しています。1回見ておけば、その年度は使い回せます。
第二に、AIの答えは「論点の地図」として使い、数値と要件はテキストと公式資料で確認します。地図を描いてもらうのはAIが得意な仕事です。番地を確定させるのは、こちらの仕事です。
第三に、時事的な話題も出題されうる点を頭に置いておきます。日本FP協会は、法令基準日の説明に続けてこうも記載しています。
ただし、試験範囲に付随する時事的問題など、またFP業務に関連するものとして知っておくべき知識・情報は出題の可能性があります
政府も、AIの使い手に対して、AIの特性を理解した上でリスクに備える姿勢を求めています。総務省と経済産業省がまとめているAI事業者ガイドラインは、事業者向けの指針であり、個人の学習者に義務があるものではありません。それでも「出力をそのまま信じない」という基本の姿勢は、資格の独学にもそのまま当てはまります。
FP3級の独学は何時間かかるのか──時間の話と、教材の足し方
「何時間で受かりますか」は、独学を始める前に一番知りたいことだと思います。ここは正直に書きます。
学習時間の相場について、行政や試験団体が公表した数字は確認できませんでした。 世の中で見かける「30〜150時間」「初学者なら80〜100時間」といった数字は、資格予備校や情報サイトが示している目安です。一次情報ではありません。数字の幅が大きいのも、そのためです。
「自分は何時間か」は、2つの数字を足して見積もる
その上で、あなた自身の時間を見積もる方法をお伝えします。他人の平均ではなく、2つの数字を足すだけです。
ひとつ目は、机に向かう時間です。テキストと問題集を1周する時間を、最初の1週間で実測してください。1章にかかった時間を数えて、章の数を掛ける。これで「1周にかかる自分の時間」が出ます。合格ラインは6割ですから、狙うのは薄く2周です。1周の時間を2倍したものが、机に向かう総時間の目安になります。
ふたつ目は、生活の中の時間です。前の章でお伝えした「わが家換算」は、1日1論点で10分から15分。週に5日続ければ、月におよそ4時間です。
たとえば1周に20時間かかった方なら、机に向かう時間が40時間。そこに「わが家換算」を3ヶ月続けた12時間が乗ります。この52時間は、世の中で言われる「30〜150時間」の幅の、下のほうに収まります。けれどこの52時間は、他人の平均ではなく、あなたが実測した数字です。予定を立てるときに使えるのは、こちらのほうです。
見積もりを予定に落とすときの、2つの注意点
まず、あなたの手元にある素材の量で必要時間は変わります。保険証券も源泉徴収票も固定資産税の通知も手元にある方は、6分野のうち複数の入口を最初から持っています。逆に、まったく触れたことのない分野が多い方は、その分だけ時間が要ります。他人の平均時間より、自分の引き出しの中身を数えるほうが、見積もりの精度は上がります。
次に、「1ヶ月で取りたい」という考え方についてです。学習時間の目安を1ヶ月に詰め込むと、平日も休日もかなりの時間を確保することになります。仕事や家事と並行する方には、現実的とは言いにくい配分です。合格ラインが6割であることを踏まえ、6分野を薄く2周してから苦手だけ厚くする、という進め方のほうが無理がありません。もし1ヶ月しか時間が取れない事情があるなら、受検日を少し後ろに置くことも選択肢に入れてください。CBTなので、日程は自分で選べます。
教材を足すなら、直前期の「耳」から
テキストと問題集の2冊があれば、独学は成立します。その上で、教材を足すかどうかの判断にも触れておきます。
直前期には、同じページを目で追っているのに内容が滑っていく、テキストの文字だけでは頭に入りにくくなる時期が来ます。そのタイミングで動画講座を1つ足すと、家事の合間や移動中に耳から復習できます。買い切りの教材なら受講期限を気にせず、必要な時期にだけ使えます。
講座の内容や価格は変動するため、購入前に必ず公式サイトでご確認ください。
学習ルートの全体像から比べたい方は、AI学習の教材とルートを比較した記事にまとめています。独学・動画・講座のどれが自分に合うかを、費用と期間で並べて確認できます。
なお、講座の費用について「教育訓練給付の対象になるのでは」と考える方もいると思います。この制度は講座ごとに指定されており、FP関連でも対象になるかどうかは講座によって異なります。厚生労働省の教育訓練給付制度のページと、教育訓練講座検索システムで、受講しようとしている講座そのものを検索して確認してください。「FPの講座だから対象」と決めつけないことが大切です。
AIに渡さないもの、AIに決めさせないこと
「わが家換算」は、家の書類を扱う勉強法です。だからこそ、線を引いておく必要があります。
渡さないもの
AIに入力しないものを、先に決めておきます。氏名、住所、生年月日、マイナンバー、保険証券番号、口座番号、基礎年金番号。これらは、勉強のために渡す必要が一度もありません。
金額も、そのままの数字を入れる必要はありません。「約○万円」と丸めれば、論点を理解する目的は十分に果たせます。家族についても「会社員の夫、パート勤務の私、中学生の子ども1人」という粒度で足ります。
個人情報保護委員会は2023年(令和5年)6月2日に、生成AIサービスの利用に関する注意喚起を公表しています。この注意喚起は個人情報取扱事業者・行政機関等向けの内容が中心ですが、別添には「一般の利用者における留意点」も示されています。「入力した内容がどう扱われるかを意識する」という考え方は、家の書類を扱う勉強にもそのまま当てはまります。
決めさせないこと
もう1つの線は、判断に関わる部分です。
AIに聞いていいのは、試験の論点の意味と、確かめる場所です。自分の家の保険を続けるべきか、どこに預けるべきか、といった判断は、この勉強法の範囲外です。それは試験勉強ではなく、家計の意思決定にあたります。必要なときには、それぞれの専門家や公的な窓口に相談してください。
FP3級の勉強を家の書類で進めていると、この2つは混ざりやすくなります。「勉強のために書類を読む」と「書類を見て何かを決める」は、いったん分けておいたほうが安全です。
「FP3級は意味ない」と言われることと、その先の道
検索するとよく出てくる話にも触れておきます。
FP3級について「意味ない」と語られる主な根拠は3つです。弁護士や税理士のような独占業務がないこと。6分野を広く扱うぶん、1分野あたりは深くないこと。そして、就職や転職で単体の決め手にはなりにくいこと。いずれも、大きく外れた指摘ではありません。
一方で、自分の家の書類が読めるようになることの価値は、これらとは別の軸にあります。冒頭の2通の封筒が、他人の言葉ではなくなる。その変化に意味を感じるかどうかは、人によって違います。取る/取らないは、ここでは決めません。あなたが決めることです。
その先の道にも、少しだけ触れておきます。金融庁が所管する認可法人として、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が2024年に設立されました。J-FLECは、特定の金融機関や商品に偏らない中立的な立場から助言する人材を、認定アドバイザーとして認定・公表しています(J-FLEC「組織について」)。中立的にお金の話ができる人を公的な仕組みで支える動きが、始まっているということです。3級のあと2級を目指すかどうかを考えるときには、こうした地図があることも知っておいて損はありません。
同じ「独学×AI」でも、簿記3級は仕訳という帳簿の言語を扱う試験で、FP3級は制度そのものを扱う試験です。数字の記録に興味が向いた方は、簿記3級の独学記事のほうが近いかもしれません。
この記事でいちばん手間をかけたのは、AIの答えを鵜呑みにしない作法のほうでした。法令基準日という物差しを自分で持ち、AIには地図を描いてもらい、番地は自分で確定させる。この作法は、FP試験に限った話ではありません。仕事でAIを使うときにも、そのまま同じ形で必要になります。もしその作法のほうに興味が向いたなら、生成AIの使い方を体系的に学べる講座(DMM 生成AI CAMPなど)もあります。月額制で必要な期間だけ利用できる仕組みですが、提供内容や料金は変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。
まとめ:CBTだから、試験日は自分で決められる
FP3級の6分野は、わが家の書類とほとんど1対1で対応しています。保険証券はリスク管理、ねんきん定期便はライフプランニング、源泉徴収票はタックスプランニング。詰まった論点を1日1つだけAIに渡し、書類のどこを見ればいいかを教えてもらう。それが「わが家換算」の勉強法です。
そしてFP試験に固有の注意点が、法令基準日でした。AIは、あなたが受ける試験回の基準日を知りません。正しい知識でも、基準日とズレていれば失点になります。だから、AIには地図を描いてもらい、数値と要件は自分でテキストと公式サイトに当たる。この役割分担さえ守れば、AIは独学の強い味方になります。
最後に、この試験の一番ありがたい性質をお伝えします。CBT方式なので、試験日は自分で決められます。
これは、勉強が仕上がってから日程が来るのを待つ試験ではない、ということです。裏返せば「いつでも受けられる」は「いつまでも始まらない」に変わりやすい性質でもあります。だから順番を入れ替えます。日付を先に決めてしまうのです。
決める前に見ておくのは、休止期間、受ける団体と実技科目、受験料、そして法令基準日。どれも試験団体の公式ページに載っています。全部確認しても、30分ほどで終わります。
試験日を決めることは、勉強の最後にやることではありません。最初にやることです。日付が決まってから、テキストの1ページ目に戻ってください。そのときには、引き出しにしまった2通の封筒が、教材の1枚目に変わっているはずです。
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