- この記事の使い方
- ① 国の措置義務化:いつから・何が・誰に
- いつから:2026年10月1日
- 何が「カスハラ」か:3要素すべてを満たすもの
- 何をすべきか:措置義務の4本柱
- 誰が対象か:労働者が1人でもいれば対象
- 違反したらどうなるか:罰金刑はなく、行政措置と「公表」
- ② 全国自治体カスハラ条例トラッカー(施行日順)
- 施行日順タイムライン(確認済み)
- 東京都(2025年4月1日施行)
- 北海道(2025年4月1日施行)
- 三重県桑名市(2025年4月1日施行)――このトラッカーの山場
- 愛知県(2025年10月1日施行)
- トラッカーの読み方ガイド
- 制定・準備中の自治体(公式で要確認・施行日は断定しません)
- ③ 自社が該当するか2分判定フロー
- ④ 義務化までの準備3ステップ+チェックリスト
- ステップ1:方針を1枚にして周知する
- ステップ2:相談窓口と記録様式を決める
- ステップ3:マニュアルを整備し、専門家相談の線を決める
- まとめ:2層×時系列の「現在地」と、次の一歩
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最終更新日:2026年6月13日
【2026年最新】カスハラ義務化+全国自治体条例トラッカー|施行日順一覧
店の閉店後、一人レジ締めをしながら、その日の電話を思い返す。「責任者を出せ」「土下座しろ」と1時間怒鳴られたパートさんが、帰り際に泣きそうな顔をしていた。店長として何かしたいが、何をどうすればいいのか分からない――そんな場面に立っている方は少なくありません。
そして2026年は、その「何をすれば」に法律が答えを出す年です。これまでカスタマーハラスメント(カスハラ=顧客等による著しい迷惑行為)への対応は、各社の「努力」に委ねられていました。それが2026年10月1日から、事業主の「措置義務」へと変わります。「やったほうがいい」から「やらなければならない」への転換点です。
しかも国の義務化に先んじて、2025年4月から東京都・北海道などの自治体が独自の防止条例を施行しています。つまり今は、自治体条例(地域の上乗せ)と国の措置義務(全国共通)という2つの層が、時間差で重なっていく途中の状態です。この記事は、その2層を施行日順の1枚で追え、自社の所在地に上乗せ条例があるかを2分で判定できる「トラッカー(追跡表)」として設計しました。
この記事の使い方
この記事は通読用ではなく、必要なときに開く参照表として作っています。
- 国の義務がいつ・何を求めるか知りたい → ①国の措置義務化へ
- 自社の地域に条例があるか確認したい → ②全国自治体トラッカーへ
- そもそも自社が対象か判断したい → ③2分判定フローへ
- 今すぐ準備を始めたい → ④準備3ステップ+チェックリストへ
法令・条例の情報は更新されます。本記事は施行日順・一次ソース付きで随時更新しますが、最終的な適用可否・自社の対応範囲は、各省庁・各自治体の公式情報および社会保険労務士・弁護士へ必ずご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。
① 国の措置義務化:いつから・何が・誰に
結論から書きます。改正労働施策総合推進法により、2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策が事業主の「措置義務」になります(改正法の公布は2025年6月11日)。具体的に何をすべきかは、令和8年2月26日付の厚生労働省告示第51号(指針)で示されています。
いつから:2026年10月1日
施行日は2026年(令和8年)10月1日です。準備期間は、この記事の公開時点(2026年6月)から数えて4か月弱しかありません。後述する準備3ステップは、この残り期間を前提に組んでいます。
何が「カスハラ」か:3要素すべてを満たすもの
指針上、カスハラは次の3つの要素をすべて満たす言動とされています。1つでも欠ければ、定義上のカスハラには当たりません。
- 顧客等(利害関係者)の言動であること … 取引先や施設利用者なども含む概念です
- 社会通念上、許容される範囲を超えていること … 正当なクレーム・要望は含みません
- 就業環境を害すること … 働く人が能力を発揮できない状態に追い込まれること
ここで大切なのは、「正当なクレーム」と「カスハラ」を分ける線が②にある点です。商品の不具合を指摘する、改善を求める――これらは正当な意見であり、カスハラではありません。線引きの考え方や記録の取り方は、関連記事のChatGPTでカスハラ電話の対応記録と線引き基準表を作る方法で詳しく扱っています。
何をすべきか:措置義務の4本柱
事業主に求められる措置は、大きく次の4つに整理できます。これは「努力目標」ではなく「義務」である点に注意してください。
| 柱 | 内容の例 |
|---|---|
| ① 方針の明確化・周知 | カスハラを許さない方針を定め、従業員に周知・啓発する |
| ② 相談体制の整備 | 相談に応じ、適切に対応するための窓口・体制をつくる |
| ③ 被害者への配慮 | 被害を受けた従業員のケア(メンタル面・配置等)を行う |
| ④ 該当性の判断・マニュアル整備 | カスハラに当たるかの判断基準・対応手順を整備する |
誰が対象か:労働者が1人でもいれば対象
対象は大企業に限りません。労働者を1人でも雇用していれば、中小企業・個人事業主も含めて事業主は対象です。「うちは小さいから関係ない」は通用しません。
違反したらどうなるか:罰金刑はなく、行政措置と「公表」
ここは正確に理解しておく必要があります。この義務に違反した場合でも、罰金刑(刑事罰)はありません。一方で、行政からの報告徴求・助言・指導・勧告が行われ、それに従わない場合には企業名等が公表されることがあります。「罰則なし=対応しなくてよい」ではなく、「刑事罰はないが、公表という社会的なペナルティはある」と捉えるのが正確です。
なお、本記事で繰り返し出てくる「努力義務」と「措置義務」は別物です。努力義務は「努めなければならない(達成できなくても直ちに違反ではない)」を意味します。措置義務は「措置を講じなければならない(講じないこと自体が義務違反になりうる)」を指し、2026年10月からの国のルールはこちらです。
【国基準チェックリスト(最小限の目安)】
– [ ] カスハラを許さない方針を文書化し、従業員に周知したか
– [ ] 相談窓口(担当者・連絡先)を決め、社内に告知したか
– [ ] 被害を受けた従業員へのケアの手順を決めたか
– [ ] 「カスハラに当たるか」の判断基準・対応マニュアルを用意したか※このチェックリストは一般的な目安であり、自社の対応が義務を充足するかどうかは社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
国の制度の一次情報は、厚生労働省(岡山労働局)の解説ページ カスタマーハラスメント対策が事業主の義務になります(厚生労働省) で確認できます。
② 全国自治体カスハラ条例トラッカー(施行日順)
国の義務化に先行して、自治体は独自の防止条例を整えてきました。ここでは施行日が確認できている条例を、施行日が早い順に並べた時系列のトラッカーとして示します。国の措置義務(2026年10月1日)も同じ時間軸に置くことで、「地域が先行し、国が追いつく」流れが一目で分かります。
施行日順タイムライン(確認済み)
| 施行日 | 主体 | 名称 | 性質 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年4月1日 | 東京都 | 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例 | 条例(罰則なし) | 全業種対象・「何人も行ってはならない」禁止規定・指針あり |
| 2025年4月1日 | 北海道 | 北海道カスタマーハラスメント防止条例 | 条例(努力義務) | 全業種対象・推進協議会・指針あり |
| 2025年4月1日 | 三重県桑名市 | 桑名市カスタマーハラスメント防止条例 | 条例(氏名公表制度あり) | 基礎自治体で初・警告→認定→氏名公表(第9条) |
| 2025年10月1日 | 愛知県 | 愛知県カスタマーハラスメント防止条例 | 条例(努力義務) | 全業種対象・共通マニュアル・特設サイト |
| 2026年10月1日 | 国(全国) | 改正労働施策総合推進法による事業主の措置義務 | 法律(措置義務) | 全国共通・労働者1人でも対象・違反時は公表等 |
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東京都(2025年4月1日施行)
全国の都道府県で先行した条例です。全業種を対象とし、「何人も、あらゆる場においてカスタマー・ハラスメントを行ってはならない」という禁止規定を置いた点が特徴です。ただし罰則は設けられていません。具体的な対応は別途定められた指針で示されています。条文は 東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(東京都例規集) で確認できます。
北海道(2025年4月1日施行)
こちらも全業種が対象で、事業者・顧客・行政の役割を定めています。性質は努力義務が中心で、推進協議会の設置や指針の策定が盛り込まれています。詳細は 北海道カスタマーハラスメント防止条例(北海道) を参照してください。
三重県桑名市(2025年4月1日施行)――このトラッカーの山場
全国の動きの中でも特に注目すべきが、桑名市です。市町村(基礎自治体)として初めてカスハラ防止条例を施行しました。さらに踏み込んでいるのが、第9条の「警告 → 認定 → 氏名公表」という段階的な仕組みです。悪質な行為に対して市が警告し、改善されなければカスハラと認定し、最終的には氏名を公表できる、という制度設計になっています。
注目すべきは、これが条文上の建て付けにとどまらず、実際の認定・概要公表の事例が出ている点です。「条例はできたが運用は名ばかり」ではなく、現に運用されている――この一点が、他の自治体や事業者にとって参照価値の高いケースになっています。条例本文は 桑名市カスタマーハラスメント防止条例(桑名市)、認定・概要の公表は カスタマーハラスメント認定の概要公表(桑名市) で確認できます。
愛知県(2025年10月1日施行)
全業種を対象とし、努力義務を基本としつつ、事業者が使える共通マニュアルや特設サイトを整備しているのが特徴です。「条例だけ作って現場任せ」にせず、対応ツールまで用意した点が実務担当者にとって参考になります。詳細は 愛知県カスタマーハラスメント防止条例・共通マニュアル(愛知県) を参照してください。
トラッカーの読み方ガイド
この表を自社に当てはめるとき、見るべきポイントは2つです。
- 国への「上乗せ」かどうか … 自治体条例は、国の措置義務に加えて地域独自の要求を上乗せするものです。所在地に条例があれば、国基準+条例の両方を満たす必要があります。
- 罰則・公表の有無 … 多くの条例は努力義務・罰則なしですが、桑名市のように氏名公表まで定める例もあります。「条例=必ず罰則」ではない一方、「条例=必ず無風」でもありません。性質を1件ずつ確認してください。
制定・準備中の自治体(公式で要確認・施行日は断定しません)
上記4件以外にも、条例を制定済み・準備中の自治体があります。ただし施行日や正式名称は流動的なため、本記事では断定しません。地方自治研究機構(RILG)の調べによると、群馬県・静岡県(2026年4月1日予定)・埼玉県(2026年7月1日予定)など複数の都道府県が準備中とされています。また市区町村レベルでも、群馬県嬬恋村・群馬県中之条町・茨城県城里町・長泉町・美郷町などが条例制定に動いているとされています。
⚠️ これらは地方自治研究機構(RILG)調べによる情報です。施行日・正式名称・適用範囲は、必ず各自治体の公式情報でご確認ください。 一覧は 都道府県・市区町村のカスタマーハラスメント関連条例(地方自治研究機構) を参照してください。
なお、カスハラの広がりは数字にも表れています。厚生労働省の委託調査(令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査)によると、過去3年間にカスハラを受けた労働者は10.8%にのぼります。件数が「増加している」とした企業は23.2%でした(出典: 職場のハラスメントに関する実態調査 報告書(厚生労働省・PDF))。多くの職場で、すでに身近な問題になっていることが分かります。
③ 自社が該当するか2分判定フロー
ここまでで「国の義務」と「自治体条例」の2層が見えました。次は、自社が具体的に何を満たせばよいかを、上から順にたどるだけで分かるフローにします。
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ステップ1:国の措置義務の対象か?
労働者を1人でも雇用していますか? → はいなら、2026年10月1日から国の措置義務の対象とされています(中小・個人事業主も含む)。まずは①の4本柱が出発点になります。
ステップ2:所在地に条例があるか?
事業所の所在地(都道府県・市区町村)が、②のトラッカーや各自治体公式に該当しますか? → 該当するなら、国基準に加えて条例の要求も確認します。複数の店舗・事業所がある場合は、所在地ごとに確認が必要です。
ステップ3:上乗せ部分を優先確認
条例がある場合、国基準では求められていない独自の規定(例:桑名市の氏名公表制度のような仕組み、特定の届出・協力義務など)がないかを、条例本文と指針で確認します。条例は国への上乗せなので、厳しいほうに合わせるのが基本の考え方です。
ステップ4:複数拠点・オンライン取引の扱い
本社と店舗で所在地が異なる場合や、全国の顧客とオンラインで取引する場合は、どの自治体の条例が関係するか判断が分かれます。この判断は専門的になりやすいため、社会保険労務士・弁護士への相談を強くおすすめします。
このフローはあくまで全体像をつかむための簡易版です。最終的な適用可否・自社固有の対応範囲は、各自治体公式・社労士・弁護士に確認してください。 自社が「顧客対応の多い業種」の場合、現場の一次対応の仕組みづくりが特に重要になります。電話一次対応の自動化には、コールセンターのFAQ対応AIエージェントが参考になります。宿泊・接客業のレビュー/クレーム仕分けはホテルのレビュー対応トリアージAIエージェントを参照してください。
④ 義務化までの準備3ステップ+チェックリスト
最後に、2026年10月までに最低限そろえておきたい準備を3ステップに絞ります。完璧を目指すより、まず「方針・窓口・記録様式・マニュアル初稿」をそろえることが先決です。
ステップ1:方針を1枚にして周知する
「当社はカスハラを許さない。従業員を守る」という方針を1枚の文書にし、朝礼・掲示・社内チャットなどで全員に周知します。立派な規程より、まず短い宣言文を出すことが第一歩です。これは措置義務の4本柱の①に直結します。
ステップ2:相談窓口と記録様式を決める
誰が相談を受けるか(担当者・連絡先)を決め、社内に告知します。あわせて、カスハラが起きたときの記録様式(日時・相手・内容・対応・所要時間・対応者)を用意しておきます。記録は、被害者を守るためにも、後の判断・相談のためにも欠かせません。
記録様式や対応記録の作り方は、ChatGPTでカスハラ電話の対応記録・線引き基準表を作る方法に具体的な作り方があります。また、顧客への正式な返信文(社外向け文書)が必要な場面では、ChatGPTでクレーム対応テンプレートを作る方法が役立ちます。社内の記録と社外への返信は目的が異なる点に注意してください。
こうした方針文・記録様式・マニュアルの初稿づくりは、AIを使うと負担を大きく減らせます。たたき台をAIに作らせ、人が自社向けに直す、という進め方です。AIを業務文書づくりに活かす基礎を体系的に学びたい方には、次のような講座が入口になります。
- Udemyでビジネス×AI活用講座を探す(PR)― 対応記録・マニュアルの初稿をAIで効率化する学びとして
ステップ3:マニュアルを整備し、専門家相談の線を決める
カスハラに当たるかの判断基準と対応手順(その場での対応・エスカレーション・警察/弁護士への連絡基準)をマニュアル化します。あわせて、「ここから先は専門家に相談する」という線引きも決めておきます。悪質・継続的なケース、法的対応が必要なケースは、社労士・弁護士の領域です。
実務でAIを使いこなす力をゼロから身につけたい非IT職の方は、無料の資料・相談から始められる講座もあります。
- 未経験からAI活用!収入アップ実践講座(無料の資料・相談から)(PR)― 記録・マニュアル整備など実務直結のAI習得として
【準備チェックリスト(最低限の目安)】
– [ ] カスハラを許さない方針を1枚にし、全員に周知した
– [ ] 相談窓口(担当者・連絡先)を決め、告知した
– [ ] 記録様式(日時・相手・内容・対応・時間・対応者)を用意した
– [ ] 判断基準・対応手順のマニュアル初稿を作った
– [ ] 専門家(社労士・弁護士)に相談する線引きを決めた
– [ ] 所在地に条例がある場合、上乗せ部分を確認した※このチェックリストは一般的な準備の目安です。自社の対応が措置義務を充足するかどうかは、社会保険労務士・弁護士にご確認ください。
まとめ:2層×時系列の「現在地」と、次の一歩
整理します。いま私たちがいるのは、2025年4月に始まった自治体条例の先行と、2026年10月に追いつく国の措置義務という2層が重なる途中の時点です。先行した東京都・北海道・桑名市などの条例と、国の全国共通ラインが時間差で重なっていきます。国は全国共通の最低ライン、自治体条例はそこへの地域の上乗せ――この関係を押さえれば、自社が何を満たすべきかは整理できます。
次の一歩はシンプルです。まず③のフローで自社の立ち位置を確認し、④の準備チェックリストのうち「方針・窓口・記録様式」の3点から着手してください。2026年10月まで時間は多くありません。完璧を待たず、たたき台から始めるのが結局いちばん早く進みます。
繰り返しになりますが、条例の施行日・正式名称・適用範囲、そして自社固有の対応範囲は、各省庁・各自治体の公式情報および社会保険労務士・弁護士に必ずご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、施行日順・一次ソース付きで随時更新します。
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