目次
  1. 1. 葬儀社の事前相談業務にAIで自動化が必要な理由——繰り返し発生するコスト
  2. 「同じヒアリング」「同じ案内文」が毎日続く構造
  3. 担当者によって品質がばらつく問題
  4. 「事務作業」と「心に寄り添う対話」が混在する難しさ
  5. 2. 事前相談AIの線引き——「文書」「宗派・地域慣習」「対話」の3つの物差し
  6. 物差し①:構造化された情報の整理と文書生成はAIに任せられる
  7. 物差し②:宗派・地域慣習・価格判断はベテラン担当者が確認する
  8. 物差し③:お客様の心情に寄り添う対話は、人にしかできない
  9. 3. 実装プロンプト【葬儀社事前相談対応AIエージェント】
  10. プロンプト①:事前相談ヒアリングシートから「初回ご案内文」を生成する
  11. プロンプト②:よくある質問への回答ドラフトを生成する
  12. プロンプト③:相談記録から「担当者への引き継ぎメモ」を生成する
  13. 4. 実際の活用シナリオ——「事務作業30分」を「ご対話20分」に変える
  14. 電話相談→案内文送付の流れ
  15. 「生成→確認→手を加える」2段階方式の重要性
  16. チーム全体の対応品質が均一化される
  17. 5. 注意点——葬儀社として特に配慮すべきポイント
  18. 送付前1分の「チェック表」——費用と宗派の事故は型で防ぐ
  19. お客様情報のプライバシー保護
  20. 「AIが対応した」とお客様に誤解させない運用設計
  21. まとめ——AIは「事務作業の担い手」として、人は「心に寄り添う担い手」として
  22. AIスキルをさらに深めたい方へ

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

葬儀社の事前相談対応AIエージェント|お客様のご要望からプランをご案内【プロンプト公開】

夕方5時を過ぎた葬儀社の受付。担当の中村さん(42歳)は、今日10件目の電話相談を終えたばかりです。受話器を置いてすぐ、Wordを開きます。「予算は50万円以内、宗派は浄土真宗、参列者は20名ほど、式場は自宅近くを希望……」とメモを見ながら打ち込んでいきます。家族葬プランの概要、費用の目安、次のステップのご案内——毎回同じ項目を、毎回ゼロから書きます。この作業に30分。今日だけで5時間近くが「案内文の手入力」に消えていきました。「もっとお客様のお話に集中できる時間がほしい」と思いながら、また次の電話が鳴ります。

この記事では、葬儀社の事前相談業務で繰り返し発生している「ヒアリング後の案内文作成・FAQ対応・引き継ぎメモ作成」を取り上げます。これらをAIエージェントで効率化するワークフローを紹介します。コピペで使える実装プロンプト3種を完全公開しますので、ITの専門知識がなくてもすぐに試せます。

なお、本記事が扱うのはご相談からご受注前までの「事前相談・プラン提案」の局面です。ご受注後、式当日の進行表・遺族向け説明書の作成には別のAIエージェントが対応します。詳しくは姉妹記事「葬祭業の『式進行表・遺族説明書』AIエージェントの作り方」をご覧ください。事前相談から式当日までの流れを一気通貫でカバーする形になります。


1. 葬儀社の事前相談業務にAIで自動化が必要な理由——繰り返し発生するコスト

厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」によると、令和6年の死亡数は160万5,378人でした。これは統計を取り始めて以来、もっとも多い水準です。死亡数の増加は、そのまま葬儀の取扱件数の増加につながります。一方で家族葬・一日葬・直葬などニーズは細分化しており、事前相談で確認すべき項目はむしろ増えています。件数が増え、確認項目も増える——この掛け算が、現場の事前相談業務を圧迫している構造です。

「同じヒアリング」「同じ案内文」が毎日続く構造

葬儀社の事前相談では、電話・来社・オンラインの形式を問わず、ほぼ同じヒアリング項目が繰り返されます。

  • ご予算の目安(上限・おおよその範囲)
  • 宗教・宗派(仏式・神式・キリスト教式・無宗教)
  • 参列人数の見込み(家族のみ・親族まで・会社関係も含む)
  • 式場へのご要望(自宅近く・最寄り駅から徒歩圏・収容人数)
  • ご相談者の続柄(ご本人・配偶者・子ども・孫)

この5項目を聞き取ったあと、担当者は「家族葬・一般葬・直葬」のいずれかを中心にプランの骨子を説明します。続けて費用の概算をお伝えし、次のステップ(見積もり作成・式場見学など)をご案内します。

問題は、この一連の案内文を毎回手作業で作っている点です。

ベテラン担当者は頭の中に「プラン別のトークパターン」が入っており、スムーズに話せます。しかし言葉に出るものと文書に書くものは別です。電話後に「今の話を整理してメール・手紙でお送りする」となると、また1から打ち込みが始まります。

担当者によって品質がばらつく問題

経験年数が異なる担当者が複数いる場合、案内文の質は人によって差が出やすくなります。

「費用について明確に書く担当者」と「金額には触れずふんわりとした案内にする担当者」がいれば、お客様の受け取り方は大きく変わります。後者では「来てみたら思ったより高かった」というミスマッチが生まれることもあります。

品質の均一化は、葬儀という一生に何度もないご体験の質に直結します。

「事務作業」と「心に寄り添う対話」が混在する難しさ

葬儀社の事前相談には、他の業種にはない特性があります。お客様は多くの場合、ご家族の終末期を見据えた不安・悲しみの中でご連絡くださいます。担当者には、情報を正確にお伝えする「事務的な役割」と、気持ちに寄り添う「人間的な役割」の両方が求められます。

ところが実際には、ヒアリング後の案内文作成・記録転記・FAQ対応に追われるあまり、「ゆっくりお話を聞く」時間が取れていないケースが多いと聞きます。

「案内文をAIに任せられれば、その分だけお客様との対話に使える」——この発想が、今回の取り組みの出発点です。


2. 事前相談AIの線引き——「文書」「宗派・地域慣習」「対話」の3つの物差し

葬儀という繊細な業種でAIを活用する場合、どこまで任せるか・どこからは人が担うかを最初に明確にしておくことが大切です。

線引きには、葬儀社ならではの理由がもうひとつあります。事前相談のご案内は、担当者の経験や性格によって「費用をはっきり示す人」と「言葉を濁す人」のバラつきが生まれやすい仕事です。後述するとおり、国民生活センターに寄せられる葬儀サービスの相談の半数超は料金に関するものですが、その入り口には、この「説明のバラつき」が潜んでいます。AIの均一なドラフトを土台にすれば、誰が担当しても費用の目安・内訳・正式見積もりへのご案内が同じ水準で漏れなく届きます。事前相談でAIを使う価値は、時短だけでなくこの「説明品質の均一化」にあります。

そのうえで、ここでは3つの物差しで線を引きます。

物差し①:構造化された情報の整理と文書生成はAIに任せられる

AIエージェント(ここではChatGPTや同等の大規模言語モデルを想定します)が得意とするのは、構造化された情報の整理と文書生成です。

  • ヒアリングメモを入力すると、家族葬・一般葬・直葬の各プラン概要と費用目安を含む「初回ご案内文」を自動生成する
  • 「費用について」「宗教について」「急な場合はどうすればよいか」などよくある質問に対し、電話・メール対応で使える回答ドラフトを出力する
  • 電話相談後のメモ(箇条書き)を入力すると、担当者への申し送りメモの骨子を生成する

これらはいずれも、現在担当者が毎回ゼロから作っている「定型性の高い文書作業」です。AIを使えば、電話を切ってから数十秒でドラフトが手元に届く状態を作れると考えられます。

物差し②:宗派・地域慣習・価格判断はベテラン担当者が確認する

一方、以下の判断は人間が担い続ける必要があります。

  • 複雑な宗教・宗派慣習の個別判断:宗派の違いによる作法の差異は専門知識が必要であり、AIの出力を必ずベテランが確認する体制が必要です
  • 価格交渉・特別対応の判断:予算調整・追加オプションの可否は担当者と会社の判断領域です
  • お客様情報の最終管理:生成された文書に実際の個人情報を組み込んで送付するのは担当者が行います

AIはあくまで「下書きを出す道具」です。完成した文書として送るかどうか、内容を調整するかどうかの最終判断は常に担当者が行います。

物差し③:お客様の心情に寄り添う対話は、人にしかできない

お客様の心情への共感と寄り添い——「いつ頃、どのような状況でしたか」というお話を丁寧に聞くことは、AIには代替できません。事前相談の主役はあくまで担当者とお客様の対話であり、AIはその対話に使える時間を増やすための道具にすぎません。この線引きを見失うと、AIエージェントの導入は「効率化」ではなく「事務の冷たさ」を生む結果になりかねません。

葬儀社の事前相談AIの線引き3つの物差し 構造化された情報の整理と文書生成はAIに任せられる 宗派地域慣習価格の判断は人が確認する お客様の心情に寄り添う対話は人にしかできない


3. 実装プロンプト【葬儀社事前相談対応AIエージェント】

以下の3種類のプロンプトをChatGPTに貼り付けることで、事前相談業務の主要な文書作成を効率化できます。プロンプト内の「【 】」部分に実際の情報を入力して使います。


プロンプト①:事前相談ヒアリングシートから「初回ご案内文」を生成する

電話・来社相談のヒアリング後に使うプロンプトです。ご要望の概要を入力すると、家族葬・一般葬・直葬の3プランを比較した初回ご案内文の下書きを生成します。

以下のヒアリング情報をもとに、葬儀の初回ご案内文の下書きを作成してください。

【ヒアリング内容】
- ご予算の目安:【例:50万円前後】
- 宗教・宗派:【例:仏教・浄土真宗】
- 参列者の見込み人数:【例:20名前後(親族のみ)】
- 式場へのご要望:【例:自宅から車で15分以内・収容30名程度】
- ご相談者の続柄:【例:長女】
- その他のご要望・気になる点:【例:費用を抑えたいが、お見送りはしっかりしたい】

【出力してほしい内容】
1. 家族葬プランの概要と費用目安(概算)
2. 一般葬プランの概要と費用目安(概算)
3. 直葬プランの概要と費用目安(概算)
4. 上記ヒアリング内容をふまえた「おすすめプランとその理由」(1〜2文)
5. 次のステップのご案内(例:正式なお見積もり作成・式場見学のご提案)

【注意事項】
- 費用はあくまで概算であることを文中で明示してください(「正式なお見積もりは別途ご提案いたします」という一文を必ず含めてください)
- 宗教・宗派に関わる詳細な作法の説明は含めないでください(担当者が個別にご説明します)
- 文体は丁寧な敬語で、相談者に寄り添うトーンを心がけてください
- 出力はそのままお客様に送れるメール・手紙の文面として整えてください

活用のコツ: 電話を切ったあと、メモをそのまま貼り付けて使えるようにしておくと作業時間を大幅に短縮できます。生成された文書は必ず担当者が読み、金額や宗派に関わる表現を確認してから送付してください。

出力イメージ(架空の入力例によるサンプルです。実在の相談者の情報ではありません)

入力例として、以下のヒアリング内容をプロンプトに貼り付けたとします。

- ご予算の目安:60万円前後
- 宗教・宗派:仏教・曹洞宗
- 参列者の見込み人数:15名前後(親族のみ)
- 式場へのご要望:自宅から車で10分以内
- ご相談者の続柄:長男
- その他のご要望・気になる点:高齢の親族が多いため、移動の少ない式場を希望

これに対して、AIは次のような出力例(抜粋)を返します。

このたびはご相談いただき、誠にありがとうございます。頂戴しましたご要望をもとに、3つのプランをご案内いたします。

1. 家族葬プラン(目安:55万円〜65万円)
ご親族15名前後でのご葬儀に適したプランです。ご自宅から車で10分以内の式場を中心にご提案いたします。

※上記の金額はあくまで概算です。正式なお見積もりは、式場・お日にちが決まり次第、別途ご提案いたします。

おすすめプランとその理由
ご親族のみ・移動の少ない式場をご希望とのことですので、自宅近くの小規模な式場での家族葬プランをおすすめいたします。

次のステップ
式場見学の日程を調整させていただければと存じます。

この出力はあくまで下書きです。金額の表現に「正式なお見積もりは別途」の一文があるか、宗派に関わる記述が含まれていないかを、担当者が必ず確認したうえで送付してください。


プロンプト②:よくある質問への回答ドラフトを生成する

「費用はどれくらいかかりますか」「急に亡くなった場合はどうすればよいですか」など、繰り返し寄せられる質問への回答文のひな形を生成するプロンプトです。新人担当者の対応品質の均一化にも役立つと考えられます。

以下の質問内容に対して、葬儀社のスタッフが電話またはメールで使える回答ドラフトを作成してください。

【質問内容・キーワード】
【例:「費用について」「急な場合はどうすればいいか」「宗教がない場合はどうなるか」など、お客様から寄せられた質問の要点を入力してください】

【出力してほしい形式】
- 電話での口頭説明に使えるトーク例(200〜300字)
- メール・手紙で使える文面(300〜400字)

【注意事項】
- 費用の断定的な数字は書かないでください(「お客様のご要望によって異なります」「正式なお見積もりにてご提示いたします」という表現を使ってください)
- 宗教・宗派に関わる作法の詳細は含めず、「担当者より個別にご説明いたします」と案内してください
- 医療・法的な判断が必要な内容(遺体の搬送タイミング・死亡診断書の手続きなど)は「担当者にご確認ください」という一文で締めてください
- 文体は柔らかく誠実なトーンで、不安を抱えているお客様が読んで安心できるよう心がけてください

活用のコツ: よく受ける質問のパターンを10〜15個リストアップして、あらかじめ回答ドラフトを作り置きしておく使い方が効果的です。社内のFAQ集として蓄積することで、新人担当者の研修資料としても活用できる可能性があります。


プロンプト③:相談記録から「担当者への引き継ぎメモ」を生成する

電話相談後、別の担当者に対応を引き継ぐ際の申し送りメモを生成するプロンプトです。口頭でのやり取りを箇条書きで入力すると、構造化されたメモに整理されます。

以下の電話相談メモをもとに、次の担当者への引き継ぎメモを作成してください。

【相談メモ(箇条書きで入力してください)】
【例:
・お名前:田中様(長女)・連絡先:○○○-○○○○
・父親が要介護2で、近々看取りが近い可能性
・予算は50〜80万円の間で検討中
・宗派は浄土宗、法名も依頼したい
・式場は地元の○○式場を希望(見学希望あり)
・日程は「もう少し先になりそう」とのこと
・「費用が心配」という言葉が2回あった
】

【出力してほしい内容】
1. 相談者の基本情報(続柄・ご要望のサマリー)
2. お客様が気にされているポイント・懸念点(特に繰り返されたキーワードを拾う)
3. 次回対応で確認・提案すべき事項(箇条書き3〜5点)
4. 対応上の注意点(費用への不安・急かさない対応が必要かどうかなど)

【注意事項】
- 個人情報(氏名・住所・電話番号)の記載は、このメモを社内でのみ使用することを前提にしてください
- お客様の感情・懸念点は推測で書かず、メモに明示された情報のみから読み取ってください
- 次回対応方針の提案は断定せず、「〜をご提案することも考えられます」等の表現を使ってください

活用のコツ: 電話が終わった直後に口頭メモを入力することで、記憶が新鮮なうちに引き継ぎ情報を整理できます。生成されたメモは担当者が内容を確認・加筆修正してから社内共有するルールにしておくと安全です。


これらのプロンプトはChatGPTで動作確認しています(2026年5月時点)。モデルのアップデートにより出力が変わる場合があります。


4. 実際の活用シナリオ——「事務作業30分」を「ご対話20分」に変える

電話相談→案内文送付の流れ

AIエージェントを導入した場合の業務フローは次のようになります。

【導入前】

電話相談(20〜30分)
  ↓
ヒアリングメモを手書き(5分)
  ↓
Wordで案内文を作成(20〜30分)
  ↓
内容確認・修正(10分)
  ↓
お客様へメール送付
合計:55〜75分

【AIエージェント導入後】

電話相談(20〜30分)——ここはむしろ丁寧に、時間をかけてよい
  ↓
ヒアリングメモをAIに貼り付けてプロンプト①を実行(2〜3分)
  ↓
AIが案内文ドラフトを生成(1分以内)
  ↓
担当者が確認・加筆・金額表現の調整(5〜10分)
  ↓
お客様へメール送付
合計:28〜44分(短縮分を「対話の時間」に充てられる)

事務作業の時間を減らすことで、担当者はより多くのエネルギーをお客様との対話に集中させられます。「費用が心配そうだった」「急いでいる様子がある」といった電話中の気づきをメモしておき、案内文に反映させる「人間の目線」も加えやすくなります。

事前相談1件あたりの時間の内訳 導入前は合計55から75分 AIエージェント導入後は合計28から44分 短縮分をお客様との対話に充てる 金額表現の調整と最終確認は必ず担当者が行う

「生成→確認→手を加える」2段階方式の重要性

AIが生成した案内文はあくまでひな形です。そのまま送ることはせず、必ず担当者が次の点を確認してから送付します。

  1. 費用の表現:「〇〇万円程度」という数字は地域・オプション・時期によって変わります。必ず「正式なお見積もりは別途」という一文が含まれているかを確認してください
  2. 宗教・宗派の記述:AIが生成した文面に宗派に関わる作法の記述がある場合、必ずベテラン担当者が確認します
  3. お客様の感情に寄り添う言葉:AIは情報を整理しますが、「この方がどんな気持ちで電話してきたか」という感情の文脈は担当者が加えます

この2段階方式(AIがドラフトを出す→担当者が確認・加筆して完成させる)が、葬儀社でのAI活用において最も安全かつ効果的な運用形態と考えられます。

チーム全体の対応品質が均一化される

ベテラン担当者と新人担当者では、案内文の質に差が生まれがちです。しかし、AIが生成したドラフトを全員が「ひな形」として使うようにすれば、基本品質はチーム全体で底上げできます。

新人は「こう書けばよいのか」という学習機会にもなり、ベテランは「いつもこのくらいのクオリティで出ているか」という確認の基準点として使えます。

問い合わせ対応の自動化という観点では、コールセンターFAQ自動応答AIエージェントでも同様の仕組みが紹介されています。電話・メール対応の標準化に取り組む場合は合わせて参考にしてください。


5. 注意点——葬儀社として特に配慮すべきポイント

送付前1分の「チェック表」——費用と宗派の事故は型で防ぐ

AIが生成する「費用目安」はあくまで概算です。実際の費用はオプション・式場・搬送距離・宗派による違いなど多くの要素で変わります。

独立行政法人国民生活センターは2026年6月3日、「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」を公表しました。全国の消費生活センターに寄せられる葬儀サービスの相談は年間900件前後で推移しています。2025年度は917件のうち52.6%が「高価格・料金」に関する相談でした。同センターは、消費者への3つのアドバイスとして次を挙げています。

  • 「葬儀の希望やイメージを考えて情報収集をすること」
  • 「葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行うこと」
  • 「見積書は必ず受領し、内容(明細)をよく確認すること」

事前相談の場でAIがつくる案内文は、まさにこの「情報収集」と「明細確認」を助けるためのものです。だからこそ、費用と宗派まわりの確認は担当者の記憶に頼らず、送付前に毎回1分、次のチェック表をドラフトに当てる運用をお勧めします。禁止事項を暗記するより、表で機械的に通すほうが確実です。

確認 見るところ NGの例 → 直し方
☐ 金額の断定がないか 費用に触れる全ての文 「〇〇万円でできます」「必ずこの費用に収まります」→ 削除し、概算・目安の表現に直す
☐ 正式見積もりへのご案内があるか 結びの段落 入っていなければ「正式なお見積もりは別途ご提案いたします」の一文を追加する
☐ 宗派・作法の断定がないか 宗教・宗派に触れる箇所 細かい作法・地域慣習は「詳細は担当者より個別にご説明いたします」に留める
☐ 宗教記述を専門担当者が確認したか 宗派の記述を含むドラフト全体 ベテランまたは宗教専門の担当者の確認を経てから送付する(AIは一般的な宗派概要しか知らず、地域の慣習差に対応できない)

お客様情報のプライバシー保護

プロンプトを使う際、入力する情報の管理には注意が必要です。

個人情報保護委員会は「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日公表)の中で、一般の利用者への留意点を示しています。

生成AIサービスでは、入力された個人情報が、生成AIの機械学習に利用されることがあり、他の情報と統計的に結びついた上で、また、正確又は不正確な内容で、生成AIサービスから出力されるリスクがある。

葬儀社が事前相談の内容をAIに入力する際も、この注意喚起を踏まえた運用が必要です。

  • 氏名・住所・電話番号・宗教情報などの個人情報は、できる限り「田中様(長女)」「Aさん」などの形式に留め、フルネーム・住所をそのままAIに入力しないことをお勧めします
  • ChatGPTなどのサービスのデータ取り扱いポリシーを事前に確認し、社内のプライバシーポリシーと照らし合わせた運用ルールを定めてください
  • 生成された文書を社内保存する際は、個人情報の管理ルールに従った保存・アクセス制限を設けることを検討してください

「AIが対応した」とお客様に誤解させない運用設計

AIが案内文のドラフトを作ったとしても、お客様にとっては「葬儀社の担当者からのメール・手紙」として届きます。「AIに書かせた文章を送りました」という印象を与えないためには、担当者が必ず文面を確認・加筆し、自分の言葉として責任を持って送るという運用体制が必要です。

一方で「AIを使っていること」を意図的に隠す必要もありません。お客様からご質問があれば「文書作成を補助するツールを活用しています。内容はすべて担当者が確認しています」と誠実にお伝えする姿勢が、長期的な信頼構築につながります。

サービス業でのAI活用事例として、ホテルのクチコミ自動仕分けAIエージェントでも「AIと人間の役割分担」の実例が紹介されています。業種は異なりますが、お客様対応においてAIをどう位置づけるかという考え方は共通していますので参考にしてみてください。


まとめ——AIは「事務作業の担い手」として、人は「心に寄り添う担い手」として

葬儀社の事前相談業務は、大きく2種類の仕事が混在しています。

  1. 情報を整理・伝える仕事(案内文作成・FAQ対応・引き継ぎメモ)
  2. 気持ちに寄り添う仕事(お客様の不安を聞く・感情に応答する)

AIエージェントが担えるのは前者です。構造化されたヒアリング情報をもとに、迅速に「読めるドラフト」を生成することは、AIが得意とする領域です。

後者は人間にしかできません。お客様が電話越しに聞かせてくれる「実はまだ心の準備ができていない」「費用のことが一番心配」という言葉に、耳を傾ける必要があります。その感情に応答することは、どれほど優れたAIでも代替できないものです。

今回紹介した3種類のプロンプトは、「事務作業をAIに委ねることで、担当者が本来の役割——お客様との対話——に集中できる時間を取り戻す」ための道具です。同時に、誰が担当しても費用のご案内が同じ水準で届く「説明品質の均一化」の道具でもあります。完璧な自動化を目指すのではなく、「ドラフトを出す→担当者が確認・加筆→お客様に届ける」という2段階方式で、少しずつ使いこなしていくことをお勧めします。

なお、本記事が扱うのはご相談からご受注前までの「事前相談」の局面です。ご葬儀の当日をどう説明するかは式当日の進行説明AIエージェントが、式を終えたあとの香典帳の整理・香典返し・四十九日のご案内は葬儀社の式後事務AIエージェントが担います。事前相談→式当日→式後まで、局面ごとにAIの持ち場を分けて設計すると、無理のない導入になります。


AIスキルをさらに深めたい方へ

プロンプトの書き方・AIエージェントの設計スキルを体系的に学びたい場合は、以下のリソースが参考になります。

→ Udemyでプロンプト設計・AI活用講座を探す(PR)

葬儀・医療・介護・福祉など、対人業務×DX推進に携わる方向けのAIスキル習得プログラムとして、以下のサービスも紹介します。

→ Neuro Diveでデータサイエンス・AIスキルを習得する(PR)

AIを活用してキャリアアップを目指す方は、AIスキルを習得してキャリアアップする方法も合わせてご覧ください。


本記事で紹介しているプロンプトはChatGPTで動作確認しています(2026年5月時点)。モデルのアップデートにより出力が変わる場合があります。実際の業務でご使用の際は、生成された文書を必ず担当者が確認・修正のうえご活用ください。

PR: 本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。

AI

jitsumuai / jitsumuai.com 運営者

プロフィールを見る →

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です