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【目安発表】1,176円。ただし、まだ「決まった額」じゃない


夕方のニュースで、その数字を見た人は多いと思う。

「最低賃金 全国平均1176円へ」。

レジを閉めたあと、休憩室のテレビをぼんやり見ていた。

そこに、この見出しが出る。

いまの自分の時給は1,030円。

(え、150円くらい上がるってこと?)

僕も最初、1,176円がそのまま自分の時給になると思って計算しかけた。笑

でも、この数字はそういう意味ではないんだ。

👤「結局、うちの県はいくらになるの。いつから?」

そう思うよね。そこを順番にほどいていくね。


🔸何が発表されたのか

2026年(令和8年)7月28日、厚生労働省が発表した。

中央最低賃金審議会が、令和8年度の地域別最低賃金の改定について「目安」を答申したんだ。

目安どおりに各都道府県で引き上げが行われた場合、全国加重平均は1,176円になる。

上昇額は55円。率にすると4.9%だよ。

出典は厚生労働省の発表ページ(令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について)。

大事なのは「なった」ではなく「行われた場合」という書き方のほう。

この1,176円はまだ目安の段階で、あなたの県の額はこれから決まります。


🔸数字だけ、先に並べておくね

  • 発表日は2026年7月28日。示したのは中央最低賃金審議会。
  • 目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円の引き上げだよ。
  • Aランクは埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪の6都府県。
  • Bランクは28道府県、Cランクは13県。
  • 全国加重平均は、目安どおりなら1,176円になるよ。上昇額55円、率4.9%。
  • 昨年度は上昇額66円、率6.3%だった。今年は幅が小さい。
  • ちなみに、現行(令和7年度)の全国加重平均は1,121円だよ。
  • 現行の最高額は東京の1,226円。
  • 現行の最低額は高知・宮崎・沖縄の1,023円。3県が同額だよ。

「55円」と「54円・56円」が並んでいて、ややこしいよね。

55円は、全国を平均したときの上がり幅。

各県の審議で参考にされるのは、ランクごとの54円か56円のほう。

つまり、全員が55円上がるという話ではないんだ。


🔸👤反応も、だいたい3つに割れていた

👤「どうせ目安でしょ。うちの県、また下のほうなんじゃないの」

僕も、その感覚はまっとうだと思う。

目安は決定じゃないし、県ごとに額も違うからね。

だからこそ、自分の県の答申を見にいく意味がある。

👤「上がるのはうれしい。でも、中小企業はきつくない?」

これも同じくらい大事な視点。

じつは法律のほうも、そこを無視していないんだ。後で触れるね。

👤「55円上がっても、物価のほうが先に動いてる」

これも否定できない。

だから終盤で、上がる分と出ていく分をセットで見る話をするね。

どの声も、誰かを責める方向には落とさないでおきたい。


ここから追いかけるのは、1,176円という数字があなたの給与明細に届くまでの道のりだよ。

途中に停留所が4つある。

  • ① 「目安」って何? 誰が、いつ確定させるの?
  • ② いつから上がるの? 発効日は全国いっしょ?
  • ③ 自分の時給だと、月いくら変わるの?(← ここが本題)
  • ④ 上がっても、手取りは増えないんじゃないの?

③がこの記事の中心。

①と②は、③をまちがえずに計算するための下ごしらえだと思ってね。

ひとつ目から見ていくね。


🔸① 目安は「参考」。決めるのは各県

登場人物が2組いる。

ひとつが、国の中央最低賃金審議会。

もうひとつが、47都道府県それぞれにある地方最低賃金審議会だよ。

厚生労働省の説明では、中央の審議会が全都道府県をA・B・Cの3つのランクに分け、改定額の「目安」を提示する。

地方の審議会は、その目安を参考にしながら、地域の実情を踏まえて詰めの審議をする。

地方の審議会は、公益・労働者・使用者の代表が同数で構成されているよ(地域別最低賃金の改定について)。

そのあとの流れが、こう続く。

  • ① 地方の審議会が答申を出す。
  • ② 異議申出の手続きを経る。公示があった日から15日以内が期限(最低賃金法11条)。
  • ③ 都道府県労働局長が決定する。
  • ④ 決定を公示する。
  • ⑤ 公示の日から起算して30日を経過した日から効力が生じる(同法14条)。

条文には、この続きがある。

三十日を経過した日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日

最低賃金法・e-Gov

つまり、発効日は都道府県ごとに別々に決められるんだ。

ここは後で効いてくるから、覚えておいてね。

令和8年度の最低賃金が決まるまでのタイムライン図

目安の根拠も、法律に書いてある

最低賃金法9条2項には、こうある。

地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない

考える材料は3つだよ。

  • 労働者の生計費。暮らしていける額かどうか。
  • 賃金。まわりの相場はどうか。
  • 通常の事業の賃金支払能力。払う側が払えるかどうか。

さっきの👤「中小企業はきつくない?」という声。

あれは的外れじゃなくて、法律の側にも最初から書き込まれている論点なんだよね。

行政の資料を自分の手でたどる段取りは、給付金や補助金の調べ方の記事が詳しいよ。


🔸② 最低賃金はいつから上がる? 全国いっせいじゃない

「10月から上がるんでしょ」。

これは半分だけ合っている。

令和7年度(現行)の実績を見ると、発効日はこう散らばっていた。

  • いちばん早いのは栃木で、令和7年10月1日。
  • 東京は令和7年10月3日だったよ。
  • 大阪は令和7年10月16日だったね。
  • 遅めの県だと、青森11月21日、山梨12月1日。
  • いちばん遅いのは秋田で、令和8年3月31日。

同じ改定なのに、栃木と秋田では半年ちかい差があるよね。

「10月1日から全国いっせいに上がる」は、正確じゃないんだ。

正しくは「10月が中心。ただし年をまたぐ県もある」だよ。

いま確定しているのは、令和7年度の額と発効日まで。

そこは厚生労働省の地域別最低賃金の全国一覧に、47都道府県ぶんが並んでいる。

令和8年度ぶんは、各県の答申が出たあとに更新されていく形。

だから、いま見る場所は2つだけ。

  • ① 目安答申のページで、自分の県がA・B・Cのどれかを確認する。
  • ② 全国一覧のページで、自分の県のいまの額と発効日を確認する。

この2つが分かれば、次の計算ができるようになるよ。


🔸③ 自分の時給だと、月いくら変わるのか

ここが、この記事でいちばん書きたかったところ。

例として、架空の人の数字を置いてみるね。

実在の誰かの給与ではなく、計算の道すじを見せるための作例だよ。

【作例】

  • いまの時給は1,030円。
  • 1日の勤務時間は6時間。
  • 月の勤務日数は20日、としておくね。

まず、月の勤務時間を出す。

6時間 × 20日 = 120時間。

いまの月の総支給額(額面)は、こうなる。

1,030円 × 120時間 = 123,600円。

ここに、自分の県のランクの目安額を足してみる。

Bランクの県だとして、+56円。

1,030円 + 56円 = 1,086円。

1,086円 × 120時間 = 130,320円。

差を出すと、こう。

130,320円 - 123,600円 = 6,720円。

月に6,720円、年にすると80,640円。

ニュースの「55円」だけを見ていたときより、手ざわりが変わると思う。

時給が56円上がったときの月収換算の作例図

外してはいけない注意が3つある

  • ① これは額面(総支給)の計算だよ。手取りは税や社会保険料で変わる。
  • ② いまの時給が最低賃金より上なら、同じ幅だけ上がるとは限らない。そこは会社の判断。
  • ③ そもそも目安どおりに決まるとは限らない。「目安どおりだったら」の計算だからね。

この3つを外すと、期待値だけが先に上がってしまう。

そこは正直に書いておきたかった。

自分の数字でAIに計算させる頼み方

電卓でもできるけれど、条件を変えて何度も試すならAIが早い。

そのまま使える頼み方を置いておくね。

次の条件で、時給が上がったときの変化を計算してください。

・いまの時給:〔    〕円
・1日の勤務時間:〔    〕時間
・月の勤務日数:〔    〕日
・引き上げ幅の候補:〔    〕円

出してほしいのは4つです。
① いまの月の総支給額(額面)
② 引き上げ後の月の総支給額(額面)
③ 月の差額と、年の差額
④ ①〜③で使った計算式

守ってほしい条件です。
・勤務先名、氏名、住所、口座番号、給与明細の画像は渡しません。それらを前提にしないでください。
・手取りは税や社会保険料で変わるため、額面の計算だけにとどめてください。
・数字には必ず式を添えて、こちらが検算できる形にしてください。

〔 〕を自分の数字で埋めるだけだよ。

最後の一行を入れているのには理由があってね。

僕がこの原稿を書きながら試したとき、AIは年額の桁をひとつ間違えて返してきた。笑

式を添えさせておくと、そこで気づける。

もうひとつ。名前も勤務先も、給与明細そのものも、AIに渡す必要はまったくない。

生成AIに個人情報を入力するときの注意点は、個人情報保護委員会が注意喚起を出しているよ。

必要なのは時給と時間と日数の3つだけ。

頼み方そのものが不安なら、非IT職向けのプロンプト入門から入るのもありだよ。

ここまで出せたら、もう十分だよ😊


🔸ところで、最低賃金は誰に効くのか

自分の数字を出したところで、制度の話をもう少しだけ。

「うちの時給、そもそも下回ってない?」という不安に効く部分だよ。

最低賃金は、パートもアルバイトも契約社員も関係なく、雇われて働く人全員に適用されるんだ。

最低賃金法2条の定義で除かれているのは、同居の親族のみを使用する事業所の労働者と家事使用人だけ。

そして4条には、こう書かれている。

使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない

最低賃金額に達しない賃金を定めた契約は、その部分については無効になる。

無効になった部分は、最低賃金と同じ定めをしたものとみなされるんだ。

本人が同意していても下回れない仕組みなんだよね。

派遣で働いている人は、13条で派遣先の事業場がある地域の額が適用される。

派遣元の所在地ではなく、実際に働いている場所の県の額だよ。

罰則もある。4条1項に違反した場合、地域別最低賃金に係るものは50万円以下の罰金(40条)。

不安なときの相談先は、都道府県労働局か労働基準監督署になるよ。


🔸④ 上がっても手取りは増えない、という話

いちばん多い反論が、これだと思う。

順番に受けていくね。

「額面が増えても、手取りは変わらないでしょ」

さっきの作例の6,720円は、額面の数字。

ここから税や社会保険料が引かれるから、手取りの増え方はもっと小さくなる。

ここは、そのとおりだよ。

扶養の範囲で働いている人には、もうひとつ論点がある。

時給が上がると、同じ年収の枠内で働ける時間はその分だけ短くなる可能性があるよね。

いわゆる「年収の壁」と呼ばれる話。

厚生労働省は年収の壁・支援強化パッケージという取り組みを進めている。

そのページに「106万円の壁」「130万円の壁」それぞれへの対応が載っているよ。

ただ、この線引きは企業規模や労働時間などの要件がからんでいる。

単純な年収の一本線ではないんだ。

だから、この記事では金額の要件を書かないでおくね。

自分が当てはまるかどうかは、公式ページと勤務先の窓口で確認してほしい。

「どうせ目安どおりには決まらない」

その可能性はある。

目安は参考であって、拘束力のある決定ではないからね。

でも、だからこそ見る意味があるとも言える。

目安が出たあと、地域の実情を踏まえて詰めるのが地方の審議会の仕事。

自分の県の答申を見にいけば、目安どおりだったのかどうかが分かる。

「決まってから知る」と「決まる過程を見ておく」では、秋の受け止め方が変わると思う。

「上がる分より、物価のほうが先に動いてる」

これも、正面から否定はできない。

だから、上がる分と出ていく分は同じ日にまとめて見たほうがいい。

出ていくほうの整理は、固定費から棚卸しする家計の記事が入口になるよ。

金額が大きくなりがちなスマホ代は、通信費の見直しの記事のほうが具体的だよ。

増えた分をどう置いておくかを考える段階なら、家計簿とNISAの記事も参考になると思う。

月6,720円は、たしかに大きな額ではない。

でも、行き先が見えている6,720円は、見えていない6,720円とは違うと思う😊


🔸まとめ

停留所は4つあったよね。それぞれの終点だけ、短く書くね。

  1. 目安は参考で、決定じゃない。各県の答申を経て、都道府県労働局長が決める。今回の目安はA54円・B56円・C56円だよ。
  2. 発効日は県ごとにバラバラ。10月が中心だけど、令和7年度は秋田が令和8年3月31日だった。
  3. 換算は、時給×1日の時間×月の日数から。作例では月+6,720円、年+80,640円になった。額面の計算だからね。
  4. 手取りの増え方は額面より小さい。扶養の範囲で働くなら、年収の壁の要件を公式ページで確認してね。

今日やることを1つだけ選ぶなら、1でいいと思う。

自分の県がA・B・Cのどれかを見るだけ。

それだけで、秋のニュースの解像度が変わるよ。


次に「最低賃金」という見出しを見かけたとき、たぶん一言だけ浮かぶと思う。

「で、うちの県はいくらで、いつからだっけ」。

その一言が出てきた時点で、ニュースはもう他人の話じゃなくなってる。

秋の給与明細、少しだけ楽しみにしていてね😊


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全国共通の1つの数字を、自分の時給と時間で割り直す。

さっきまで手を動かしていたのは、それだけだったよね。

同じことを、来期の全社目標を自分の担当分に落とすときにもやっていないかな。

予算でも人数でも、割り方はだいたい同じだからね。

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こういう換算の場面は、この先も何度も出てくると思う。

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しくみも値段のほうも、この記事の外で動くからね。公式ページの現在地だけ見ておいて。


※追記について

この記事は「目安」の段階で書いたものだよ。

「目安」という言葉、何回書いたんだろうね。笑

でも、そこを外すと全部が別の話になってしまうから、しつこく置かせてもらった。

これから各都道府県の地方最低賃金審議会が答申を出して、労働局長が額と発効日を決めていく。

各県の確定額が出そろい次第、この記事を更新するね。

(本文の内容は2026年8月1日時点。最新は本文中の厚生労働省のページで確認してね)

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