偽SMS・サポート詐欺の見分け方|AIで一緒に確かめる親子の習慣【2026】
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夜10時すぎ、スマホが鳴った。離れて暮らす75歳の母からだ。声が、いつもより細い。「パソコンに警告が出て、ピーピー鳴ってるの。電話しろって番号が出てて……かけたほうがいいのよね?」。受話器の向こうで、心臓がきゅっとなる音が聞こえる気がした。
仕事を終えたばかりのこちらも、頭が真っ白になる。今すぐ実家に駆けつけられる距離ではない。電話越しに「待って、その番号にはかけないで」と言うのが精一杯だ。自分は、母を四六時中守れない。その事実が、夜の静けさのなかで重くのしかかる。
この記事の結論を先にお伝えします。不審なSMSや警告画面は、親子でAIに「これ本物?」と相談しながら確かめられます。 ただしAIは判定の補助にすぎません。最後の砦は「迷ったら触らない・公式アプリや公式番号・188で確かめる」です。離れていても一緒に確認できる、新しい親子の習慣をつくっていきましょう。
1. 母から電話が来た夜——手口の実態と被害の数字
まず知ってほしいのは、被害は他人事ではなく、巧妙さは年々増しているという事実です。動揺するのは、油断していたからではありません。誰でも一瞬で引っかかる作りになっているからです。
数字が、それを物語っています。警察庁によると、令和6年(2024年)の特殊詐欺の認知件数は2万1,043件です。前年比10.5%増、被害額は718.8億円(前年比58.8%増)でした(警察庁・令和6年確定値・2025年5月発表)。最新の発生状況は警察庁の特殊詐欺対策ページでも公開されています。
そして、法人被害を除く認知件数のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は65.4%でした(同・警察庁、令和6年)。被害の多くが、私たちの親世代に集中しているのです。
手口も変化しています。国民生活センターは、2024年に70歳以上でサポート詐欺の相談が大幅に増えたと注意を呼びかけています(国民生活センター・2024年3月)。また、80代の方が偽警告を見て電話し、約60万円分の電子マネーをだまし取られた例も報告されています(国民生活センター・2022年2月)。
ここで強調したいのは、被害に遭うのは本人のせいではないということです。手口は「動揺させて、考える時間を奪う」よう設計されています。だからこそ、動揺したときに頼れる「確かめる手順」を、家族で先に決めておくことが効きます。
2. 偽SMSを見分ける3観点と”絶対に触れないライン”
偽SMS(フィッシングSMS)は、3つの観点で「あやしい」と気づけます。観点を知っておくだけで、立ち止まる余裕が生まれます。
なぜ観点が有効かというと、詐欺のSMSには共通の「型」があるからです。宅配業者・通信事業者・銀行・税金関係などを装い、本文にURLを入れて緊急性をあおる——これが典型的な詐欺SMSの型です(総務省・フィッシング詐欺とは)。この型を覚えておけば、初めて見る文面でも違和感に気づけます。
見分ける3観点は、次のとおりです。
- 観点①:URLが入っているか — 公式の業者は、通常SMSにURLを入れて誘導しません。本文にリンクがあるだけで、まず疑う材料になります。
- 観点②:緊急性をあおっているか — 「至急」「本日中に」「利用停止」など、考える時間を奪う言葉が並びます。
- 観点③:不自然な点はないか — 日本語の言い回しがおかしい、差出人が見慣れない番号や海外番号(+で始まる等)になっている、などです。
そして、3観点とは別に、何があっても越えてはいけない”触れないライン”があります。それが下の3つです。
- 本文中のURLをタップしない。
- 記載された番号に電話・折り返ししない。
- コンビニで電子マネーを買って番号を伝える指示には、絶対に従わない。
最後の点は決定的です。公的機関や正規のサービスが、コンビニでの電子マネー購入を求めることはありません。「電子マネーを買って」と言われたら、その時点で詐欺と考えてよい——これは消費者庁や警察庁も繰り返し注意している鉄則です。荷物や請求が気になるときは、SMSからではなく、宅配会社や事業者の「公式アプリ」か、自分で検索した「公式サイト」から確認します。
下の早見表は、ここまでの3観点と”触れないライン”を1枚にまとめたものです。印刷して、親のスマホのそばに貼っておくと役立ちます。

この早見表のように、「3観点で疑い、触れないラインを守る」だけで、被害の入り口の多くは防げます。
3. サポート詐欺の「偽警告画面」を、電話する前に消す3ステップ
母を動揺させた「ピーピー鳴る警告画面」は、サポート詐欺の典型です。慌てて電話する前に、まず画面を閉じることが先決です。
なぜなら、その警告画面は、ほぼ偽物だからです。独立行政法人IPA(情報処理推進機構)によると、画面に電話番号が表示される、全画面になって閉じられない、警告音が鳴り続ける——これらは偽警告にほぼ共通のサインです(IPA「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策」)。正規のOSやウイルス対策ソフトは、画面に電話番号を出して電話を促すことはありません。
電話する前にやることは、次の3ステップです。
- 表示された番号には、絶対に電話しない。これが最優先です。
- 画面を閉じる。キーボードの「Esc」キーを押す(またはF11キー)と全画面が解除され、閉じるボタンが出ることがあります。閉じられない場合は、タスクバーのブラウザを右クリックして「ウィンドウを閉じる」でも対処できます。
- 閉じられなければ、いったん電源を切る。パソコンを再起動すれば、多くの場合この警告は消えます。
もし電話してしまい、遠隔操作のソフトを入れてしまった場合は、すぐにインターネット接続を切り、専門の相談窓口に連絡してください。IPAは技術的な相談を受け付けています。一人で抱え込まず、早めに人に相談することが、被害を最小限にとどめます。
要するに、偽警告は「電話させて、お金を払わせる」ための舞台装置です。電話する前に画面を消す——この順番を家族で共有しておきましょう。
4. AIに「これ本物?」を貼って確かめる——固有プロンプトと出力例
ここからが、この記事の核心です。不審な文面は、親子でAIに相談しながら確かめられます。「自分一人で判断しなくていい」という安心が、冷静さを取り戻させてくれます。
なぜAIが役立つかというと、詐欺の典型パターンとの照らし合わせが得意だからです。文章の不自然さ、緊急性をあおる表現、よくある手口との一致を、参考情報として整理してくれます。受信した文面を「どう処理するか・誰に確認するか」を落ち着いて考える助けになります。受信トレイの整理にAIを使う考え方は、連休明けの放置メールをAIで仕分けする記事でも触れています。共通するのは「個人情報は渡さず、文面のテキストだけを相談する」という原則です。
ただし、AIに入れてはいけないものがあります。口座番号・暗証番号・パスワード・住所などの個人情報、そしてSMSに含まれるURLそのものは、入力しないでください。 リンクは踏まず、コピーもせず、不審な「本文の文字だけ」を相談します。この前提を、次のプロンプト(指示文)にも組み込んであります。
そのまま使える固有プロンプトが、こちらです。
あなたは、詐欺やフィッシングに詳しい相談員です。
高齢の親に届いた「不審なメッセージの文面そのもの」を、これから貼ります。
※リンク(URL)は踏まず、本文の文字だけを貼ります。
※口座番号・暗証番号・住所などの個人情報は含めていません。
【貼り付ける文面】
(ここに、不審なSMSやメールの本文だけを貼る)
次の4点を、専門用語を使わず整理してください。
1. これは詐欺の可能性が高いか、低いか
2. そう判断した根拠(不自然な点)を箇条書きで
3. やってはいけない行動(タップ・電話・送金など)
4. 安全に確認する方法(公式アプリ・公式番号・公的な相談窓口)
最後に「最終的な判断は、私自身が公式の手段で確認すること」を一言添えてください。
実際にどんなやりとりになるか、例を見てみましょう(※以下は理解のための架空の例です。実際の判断は必ず公式の手段で確認してください)。
まず、親に届いた偽の「宅配不在SMS」の文面(before)。
【お荷物をお届けにあがりましたが、ご不在のため持ち帰りました。下記よりご確認ください。 hxxps://△△△-delivery.○○/xxxx ※本日中にご対応ください】
このテキストだけを、URLを踏まずにAIへ貼ると、次のような回答(after)が返ってきます。
- 詐欺の可能性が高いと考えられます。
- そう考える根拠:
・「本日中に」と緊急性をあおっている
・宅配業者は通常、SMSにURLを入れて誘導しません
・記載のURLが正規の宅配会社と異なる文字列を含んでいます
・差出人が個人の携帯番号や海外番号に見えます- やってはいけないこと:URLをタップしない/記載の番号に電話・折り返ししない/個人情報やカード番号を入力しない。
- 安全に確認する方法:荷物は、宅配会社の「公式アプリ」か、自分で検索した「公式サイト」の問い合わせ番号で確認してください。不安なら消費者ホットライン188へ。
※最終的な判断は、必ずあなた自身が公式の手段で確認してください。私(AI)の回答は参考情報であり、誤ることもあります。
このように、AIは「疑う根拠」と「次にとるべき安全な行動」を整理してくれます。文章から”見落とすと痛い点”だけを先に拾う使い方は、契約書・仕様書をAIで要点チェックする記事の考え方とも共通します。AIは一次スクリーニング、最終確認は人——この役割分担が大切です。
5. AIが見抜けないときもある——限界と「迷ったら188」の鉄則
ここで、いちばん大事な注意点をお伝えします。AIは便利ですが、万能ではありません。「AIが本物と言ったから安心」と考えるのは危険です。
理由は、AIも誤った判断(ハルシネーション)をすることがあるからです。新しい手口は学習データに含まれていない可能性があり、まれに本物のメッセージを「偽物」と誤判定することもあります。AIは、実際にそのURLへアクセスして本物か確かめることも、電話番号が公式かをその場で照合することもできません。AIが「もっともらしい嘘」を返す仕組みと見抜き方は、AIの嘘を見抜く記事で詳しく解説しています。
だからこそ、覚えておきたい鉄則は2つです。
- 迷ったら、触らない・電話しない・送金しない。少しでも怪しいと感じたら、その場で動かないことが最大の防御です。
- 最終確認は、公式と公的窓口で。公式アプリ・公式サイト・消費者ホットライン188・警察相談専用電話#9110に確認します。
AIは「相談相手」であり、「保険」ではありません。AIで一次的に整理し、最後は人と公式の手段で確かめる。この両輪で、はじめて安心が成り立ちます。
6. 今週から親に渡せる「スマホ詐欺ルール」ひな型
ここまでの内容を、親が一人のときでも使える形にまとめましょう。難しい知識ではなく、「迷ったらこうする」という短いルールにするのがコツです。
なぜルール化が効くかというと、詐欺は「考える時間を奪う」攻撃だからです。とっさのときは、立派な知識より「決めておいた合言葉」のほうが役に立ちます。印刷して、親の電話のそばや冷蔵庫に貼っておけば、動揺した瞬間の”お守り”になります。
親に渡すルールのひな型は、次の5つです。
- URLは押さない・番号にかけない。SMSや警告画面の中のリンク・電話番号は、すべて触らない。
- 「電子マネーを買って」は、必ず詐欺。例外はありません。
- 画面が消えないときは、電源を切る。慌てず、いったん落として再起動。
- 困ったら、まず私(家族)に電話。判断は一人でしなくていい。
- それでも不安なら、188に電話。公的な相談窓口が、毎日相談に乗ってくれる。
下のルールカードは、この5つを親に渡せる1枚にしたものです。電話の横に置いておける大きさを想定しています。

このカードのように、ルールはシンプルなほど守られます。完璧な知識を求めず、「迷ったら家族か188」に着地させておくことが、いちばんの安心につながります。
7. 相談先まとめと、親子で続けるAIの習慣
最後に、いざというときの連絡先と、これから続けたい習慣を整理します。困ったら一人で抱えず、すぐ相談する——これが被害を防ぎ、小さくします。
相談先は、次のとおりです。番号を、親のスマホの連絡先に今すぐ登録しておきましょう。
- 消費者ホットライン 188(局番なし) — 最寄りの消費生活センターにつないでくれます。原則毎日対応(通話料は別途かかります)。詳しくは消費者庁「消費者ホットライン」。
- 警察相談専用電話 #9110 — 「怪しい電話やSMSがきた」など、被害前の相談ができます。
- 110番 — お金を振り込んでしまった、今まさに犯人と話しているなど、緊急のとき。
- 金融機関へすぐ連絡 — 振り込んでしまった場合は、すぐに金融機関へ電話し「振込停止・組み戻し」を依頼します。
被害に遭ってしまっても、責める必要はまったくありません。巧妙な手口に、誰でも一瞬で動揺します。大切なのは、気づいた時点で、早く相談することです。
そして、ここからが新しい習慣です。不審なメッセージが来たら、親子で「これ、AIに聞いてみよう」と一緒に確かめる。それが日常になれば、親も「一人で判断しなくていい」と安心できます。親のスマホに新しいアプリを入れるときの安全設定は、Claude Codeなどの初期設定を安全に行うガイドも参考になります。
子世代である私たち自身が、AIをもう少し使いこなせると、親に渡せる安心はさらに大きくなります。基礎から学びたい方は、Udemyの生成AI・ChatGPT活用講座で実践的に学べます。非IT職の方が仕事や暮らしにAIを取り入れたい場合は、未経験からAI活用!収入アップ実践講座も選択肢になります。学習の進め方は人それぞれですので、無理のない範囲でどうぞ。
次のアクション(今日できること)
- 親のスマホの連絡先に、188 を登録する。
- この記事の「親に渡すルールカード」を印刷し、親の電話のそばに貼る。
- 「不審なメッセージが来たら、まず私に電話。一緒にAIで確かめよう」と、親に一言伝える。
不審なSMSやサポート詐欺の偽警告は、AIを補助に使えば、親子で落ち着いて確かめられます。けれど最後の砦は、いつだって人のつながりです。迷ったら、触らない。そして、家族か188へ。離れていても、その一本の電話が、親の財産と安心を守ります。
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